ある町のパン屋さんでは、毎日たくさんのパンが焼かれていた。
この日も朝早くから、パン職人が生地を整形し、次から次へ釜へ放り込んでいた。
そして、次から次へと、多くのパンが焼きあがり、店内の棚に綺麗に並んでいく。
そんな中で、食パンだけが焼きあがっても直ぐには切れないので、しばらく店の奥の棚で熱を冷まされていた。
「お前はいつも遅いなあ。」
アンパンが食パンをいつものようにいびった。
「どうせ食われちまうんだから、遅くたって構わない!」
「いや、お前の耳だけは食われないのだぜ。」
と、穀物パンが言った。
「食パンカッターの横に積み上げられて、(犬のえさにくださいな)って客に言われてもらわれていくんだ。」
「ザマーネーナ」
フランスパンが、パリパリとはやし立てた。
食パンはうんともすんとも言えず、いつものように黙ってしまった。
そして、2時間後。
食パンは店員に5枚切り、6枚切り、サンドイッチ用と切られていき、ビニールの袋に綺麗に包まれていく。
耳は、穀物パンの言ったように無造作に積み上げられていった。
お昼時、近くの工場の工員たちが次々とパンを買っていく。
「あばよ!」
とみなぞれぞれ、湯気を出して去っていった。
昼過ぎに近所の主婦がやってきて、食パンを買っていく。ついでに
「犬のえさにパンの耳をくださいな。」
といわれ、パンの耳は無造作にナイロン袋の中に入れられて、くるくるっと口を縛られ、アンパン連中と同じ袋に入れられた。
「ケガラワシイ!」
「寄るな!犬のえさ!」
パン達に散々コケにされ、返す言葉も無くパンの耳はうなだれた。
台所に置かれたパンたちは、今か次かと食われるのを待ちわびた。
3時ごろ、ゴゾカサと、袋が開けられ、主婦が覗いた。
「俺を食え!」
「いや、おれだ!」
パンたちは一斉に叫んだ。パンの耳だけはうなだれ曲がった状態だ。
と、主婦が取り出したのはパンの耳だった。
「犬のおやつか。」
パンたちは深いため息をして、またごろんと横になった。
主婦は、と言えば、トースターを出し、曲がったパンの耳をパンと真っ直ぐに直し、マヨネーズをうねっと伸ばしてタイマーを5分にセットした。
「おい!おい!犬に食わせるんじゃなかったのかよ!」
アンパンが叫んだが、その声は主婦には届かない。
ジジジ・・・とトースターのタイマーが回り続けてチンとなった時、
「どうして売れないのかしら、一番美味しいのにねえ」
と香ばしく焼けたパンの耳を手に持ち、かぶりついた。
「ザマーネーナ!」
パンの耳は、アンパン達と、そしてかぶりついた主婦に叫んだ。
了
今回はちょっと駄目ですね。
ブンガクのエッセンスがゼロ。うーん難しい。
笑えたら良しとしてください。
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