さようならADSL

 日本国内のADSLサービスが近くほぼ終了するらしい。
安く使えていただけに残念。
仕方がないので光ケーブルを屋内に引き込んだ。工事は専門の業者が行い問題なく開通。
心配した速度も充分に出ているようだ。今まで5MB程度であったのが450MBまで出るのだから大したものだ。
因みにケーブルの寿命は20~30年程度らしい。どこかのニュースで光料金にケーブルの張替料金も上乗せされるかもしれないとあった。
これ以上の値上がりは勘弁してほしい。
 無駄がないかと見直せば、自宅の固定電話がほぼ使わない状態で基本料金ばかり支払っている。
光電話にすればルータのレンタル料金月々数百円で済むらしい。
一年で約1.2万程の節約となる。
光に変えた時に契約しておけば手数料も要らなかったのにと今更思ってもしょうがない。
しかし、そもそも固定電話ってセールスの電話しかかかってこないのに、今必要なのか?
ネットに同じような投稿がたくさんあった。
自分が考えることは大概他の人も考えているようだ。
 それはそうと、ADSLモデムを片づけているとダイヤルアップ時代のモデムがあった。100MBのLANカードも。
100MBあれば普通足りるが、光の速度には役不足。それにLANポートはどのマザーボードにもついている。
使えるけど、もう使わない物という事らしい。
 ・・・・もう使わない物って考えると他にも随分ため込んでいるような気がする。
直ぐ思いつくものだけをまとめて紙袋に入れてみると随分重い。
ひょっとすると、そんなものばかり背負いこんで人生歩いているのかも?
見直すにはいい時期なのかもしれない。

暗雲の向こう側

 目的地の方角が真っ暗になっていた。自転車旅なので雨はできれば避けたい。
けれど今日の宿は決まっているのでしょうがない。キャンセル料金を払って新しいホテルを予約なんてやってられない。
しょうがないのでサドルバックからレインジャケットを出しておく。
 川沿いの堤防を走って脇道にそれ、一つ峠を越えて、下って街に出たところが今日の宿。
夏の終わりの俄雨といったところだろう。そのうち川上から涼しい風というより冷たい風が吹いてきた。
肌寒くなったので自転車を止めてレインジャケットを羽織る。雷が鳴ってたらやばいけど音は聞こえない。
ペダルにクリートをはめて進んで行く。
そろそろ曲がり角かと思い止まってスマホで確認する。ここらしい。
どこにでもある曲がり角。
二車線をしばらく進むと橋があり、橋を越えると一車線になった。
そこからゆるゆると登りになってきた。
民家と田んぼが道の右側にあり、左側は川と山。
左右になだらかなカーブをいくつか曲がると急に斜面がきつくなった。
今日最後の登りだろう。
ぽつぽつと雨が落ちてきた。
峠もこの程度の雨ならいいのだけれど。
荷物が多いので登りがつらい。
何時もより脚に来ている。
ギシギシとペダルが鳴る。
どこが鳴ってのか、油は注しているけど・・・・シューズがすれるからか・・・・
と登るたびに思うのだが思うだけ。
自転車を降りてしまえば忘れている。
何時かきちんと見ておかないと故障するんだろうなと思うが、自転車をスタンドにかけて手でペダルを回す分には全くそんな音がしない。
だから分からないし忘れてしまう。
本気で音のする場所を探すならボトムブランケット外してグリスアップか等と考える。
「面倒だ。」
時折声が出る。
一人で走っていると感情的な言葉が口に出やすい。
「あーキツ!」
ダンシングに切り替えてやっとこさで登っていく。
少し斜度が緩めばシッティングに切り替える。
確か400mぐらいの峠だったので大したことはないはずなのだが。
雨粒が大きくなってきた。
と思ったら急に土砂降りになった。
道端の僅かな木陰に急ぐ。
つぎはぎだらけのアスファルトの路面を雨が流れていく。
サイコンを見ると6:00。
暗くなったのか、ちょっと先の街灯が一つ点灯した。
スマホを出すと濡れそうだったのでやめておいた。
直ぐに止むだろう。
ぼーっと雨を見て過ごす。
シューズが浸水する。
車は通らない。
少し止んできたかなと思ってサイコンを見ると6:10。
もうちょっと待つか。
かなり止んできたのでそろそろ行くかと思いサイコンを見ると6:12。
サドルに腰掛け右足をクリートに嵌め、漕ぎだす。
少しだけタイヤがスリップする。
ライトもつけておく。
もうあと100mぐらいか。
えっちらおっちら登っていく。
暫くすると雨がやんで薄っすらと夕日が峠の向こうに見えだした。
今日のご褒美かと思い残りの登りを頑張る。
「あーキツ!」
何度目かの愚痴がこぼれる。
やっと鞍部に到着。
少し切通っぽく削られた間の向こう、夕日に染まった海辺の街が見えた。
暫く見とれて休憩。
と、向かいから軽装の自転車が3台登ってきた。
軽い挨拶をしながら颯爽と通りすぎていく。
少しだけ恥ずかしく思い、
「さて」
そろそろ下るかと思いクリートをはめた。