継承王国

昔々「継承王国」に王様と、二人の王子が居ました。
二人の王子は、とてもよく似ていましたが、税収が足らない税金に関してだけ、全く違った意見を持っていました。
弟の王子は、所得税を上げるだけで、消費税は導入しない考えでした。
兄の王子は、国民に広く浅く課せられる消費税の導入こそが望ましいと考えていました。
そんな「継承王国」の二人の王子でしたが、この国最古の法律では、継承王国たる所以として、
こんな時、二人の王子達の争いにならない為にも、どちらの王子が王様になっても、悪ければ、国民の意見で直ぐに交代できるようになっていました。
また、今の政治のよい所も悪い所も、全て王子達がそのまま引き継げるようになっていました。
また、最低限守らなければいけないことは王様であっても変更できないように、
王様の考えで変更できる所は、手続きさえ踏めば変更できるようになっていました。
やがて、王様が王位を退位するときがやってきました。
この国では王様は70歳からは自由に退位することができ、後の人生は国王の仕事からは開放され、自由となることができるのでした。
退位後は尊敬の意味を込めて、大王の称号が与えられました。
さて、王位を継承したのは長男ということもあり兄の王子でした。
王子は消費税の導入を実行しました。
国民は、子供がおやつを買う時までも消費税を支払いました。
最初は抵抗がありましたが、一年二年と経つうちに慣れてしまいました。
それにつれて税収が増え、王国の社会福祉は充実し、国民も納得安心して生活していました。
しかし、次第に景気が悪くなり、国民の消費が悪くなった時、消費税の回収金額が極端に悪くなってしまいました。
それにつれて、社会福祉のサービスも質が悪くなってきました。
国民は、消費税に疑問を感じ出しました。
王様自身も自信がなくなってきていました。
そこで、国民は国民決議を行い、今度は弟の王子(皇太子)に王様になってもらうことにしました。
今では自由気ままな生活をしている大王も
「いいんじゃないの。」
と言うコメントを発表しました。
兄の王様は皇太子になり、弟の皇太子は王様になりました。
王様は早速消費税を廃止して、所得税の税率を引上げることにしました。
すると不思議なことに王国の物価は自然と下がり、国民は割安感を感じ消費率が上がりました。
それに併せて近隣諸国からの買い物客が増えてきました。
結果として王国の景気は回復し、国民と王様は手を取り合って喜びました。
それを見ていた皇太子となった兄が
「私の能力はもう王には向いていないかもしれない。なので皇太子を退位して隠居したいのだが。」
と、王様と国民に願いました。
それを聞いた王様は兄に言いました。
「結果が解っていれば誰も苦労はしません。今の成功もいずれ時代に合わなくなる時が来て変わる必要が出てくるでしょう。
その時は遠慮なしにまた王様になってください。私はいつでも皇太子に戻るつもりです。」
と。
皇太子は王様の話に納得し、皇太子を続けることにしました。
大王も
「いいんじゃないの。」
と言うコメントを発表しました。
時が経ち、近隣諸国もこの王国の真似をして、消費税を廃止しだしました。
すると、外国からの買い物客がぱったり止まり、景気が悪くなり、王国の税収が激減しだしました。
国民は兄の皇太子に期待を向けました。
弟の王様も兄に相談しました。
皇太子はこの苦境に対応する政治プランを隠し立てせずに、国民、王様に説明しました。
国民の間では賛否両論があり、まとまりそうにありませんでした。
そこで、王様は兄の皇太子に再度王様となってもらう事を決断し、実行しました。
大王も
「いいんじゃないの。」
と言うコメントを発表しました。
しかしながら、王国の景気は回復しませんでした。
国民は王様の政治に不満を持ち始めていました。
王様は困りかねて大王に相談しました。
大王は
「ま、そんなもんじゃ。」
とニコニコしながら王様に言うだけでした。

プログラムの世界の「クラスの継承」をモチーフにしてを書いてみたもの。
なかなか難しい。

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