ねぎとたまねぎの違い

寒い冬、12月におじいさんに植えられたねぎは、4月の始め、一本、おじいさんに抜かれました。
と、言うのももう玉が出来なければならないのに、一本だけ、なぜか玉が出来なかったのです。
他のたまねぎは、たまねぎらしく玉を作りつつありました。
抜かれたたまねぎは、一見するとねぎのようでした。
しかし、根っ子の直ぐ上に、ちょっとだけ丸みが出来かけていました。
おじいさんは少し後悔しました。
5月まで待ってみても良かったのではないか?と悔やみました。
しかし、根が切れているので、もう畑に戻すことは出来ません。
これまでこんなことが無かったので、この出来損ないのたまねぎが食べられるのか
おじいさんは、隣のおじいさんに聞きに行きました。
「食べられると思うが、俺もわからん。隣のじいさんに聞いてみよう。」
と隣のおじいさんが言いました。
隣に行くとそこでも
「うーん。こんな事は初めてだ。食べられるかどうか?」
そういうことが続き、とうとう村中のおじいさんが集まり議論となりました。
「ジャガイモも、出来損ないは毒になると言うから止めたほうがいいのではないか?」
一人のおじいさんが言いました。
「じゃがいもはジャガイモ。たまねぎはたまねぎだ。」
「誰も知らんというのはおかしくないか?」
「これまで経験したことのない、未知との遭遇は、歳をとっても、あるにはあるということさ。」
「で、どうするの?」
などと議論の末、おじいさん達はそのたまねぎを見つめ、黙ってしまいました。
しばらくの沈黙の後、
「食べてみるか・・・・」
と、抜いたおじいさんが言いました。
「危ないぞ!」
他のおじいさんが言いました。
「何でも最初はある。」
と、抜いたおじいさんはその言葉を制し、自分の家の台所へ皆を引き連れて行きました。
「ばあさん、包丁を貸してくれ。」
「珍しいですね。何か?」
「うん。この出来損ないのたまねぎが食べられるかどうか食べてみようと思って。」
「あら、そんなことなら、もう今朝納豆と一緒に食べてますよ。」
と、お婆さんは言いました。
おじいさん達は一様に驚きました。
「だ、大丈夫なのか!」
抜いたおじいさんが、お婆さんに迫りました。
「大丈夫ですよ。でなかったら、毎年毎朝死んでますよ。」
「と言うことは、今までずっと食べてきたと言うことか?」
「ええ。朝にちょっと緑が欲しくて採ってますけど。」
「おおお・・・!」
集まっていたおじいさん達は一堂に瞠目し、おばあさんに注目しました。
「で、・・・・・どうして食べられると分かった?」
おじいさんは聴きました。
「食べられないんですか?食べられないなんて思ったこともないですけど?」
おばあさんはおじいさん達に不思議そうに聴きました。
「なんだか、ねぎとたまねぎって、おれたちと、ばあさんみたいに、微妙に違うんだな・・・・」
と、おじいさんの中の誰かが言いました。

実際、我が家の家庭菜園での出来事を題材に書いてみました。
で、これからたまねぎのねぎを食べてみます。
ラーメンの具として・・・・・
だ・・・大丈夫か!?

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