ロータリー制の広い広場をぐるぐると自転車で回っていた。
ヨーロッパの広場で、目に付くのは異国の人達だ。
私が探していたカフェが見つかり、その前を通り過ぎた。
私には連れ合いがいて、ちょうどこのロータリーへ入る前、黄色い玄関の前で
「見てくる」
と言って私だけロータリーへ漕ぎいれ、くるくると見て回っていたのだ。
黄色い玄関・・・黄色い玄関・・・・
と思って探しているがなかなか見つからない。
何処かの角を入るのだったのか?
少し私はあせりだした。
一周回ってしまったらしく、さっきのカフェの前を再び通り過ぎた。
カフェの中で客は、名物のチョコレートケーキを食べている。
私の姿は彼女からは見えているのだろうか?
声でもかけてくれれば助かるのだが、こう車が走っていては声は届かないか?
カフェを通り過ぎると街路樹の間にベンチが置いてあり、
日がな一日本を読んだり、寝たり、とにかくベンチ上の人々は動かない。
その前をまた、自転車で通り過ぎた。
二度目となると、眼鏡越しの興味の対象になるらしく、複数の視線が私に注がれた。
どうやら黄色い玄関の前の彼女を見失ったらしい。
彼女の方が動いてしまったのかもしれなかった。
いや、黄色い玄関を見失ってしまったのだ。
これは悪夢なのだろうか?
私はもう一度と、自転車をゆっくりと漕ぎ出した。
目的のカフェは彼女も知っているはずだから、最終的にはそこで待つしかないかも知れない。
彼女の白いヘルメットがいないか、私は辺りを探し続けた。
と、黄色い玄関が、あった。
カフェから一ブロック漕いだ所にそれはちゃんとあった。
大きな白いワンボックスがその前に停められてしまい、見えにくくなっていただけだった。
彼女の顔を見つけた私の顔から、不安が消え去るのが自分でもわかった。
私は手を上げて彼女に合図を送り、黄色い玄関の方へ漕いで行った。
「場所が分からなくなったかと思った。この車の陰になったので見えにくくなっていて・・・・・」
「ダイジョウブ。」
彼女は何もなかったように微笑んだ。
了
今回は、夢を題材にしてみたものです。
最初の題名は
-夢ではぐれて-
でした。
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ヨーロッパ自転車旅行。
面白そうです。
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