カレー屋さん

郊外の大型ショッピングセンターの駐車場から歩いて直ぐのカレー屋のカレーは、油分が少ないがしっかりとコクがある。
「市販のカレールーは一切使用していません。」
との事だ。
小さなプレハブ店舗の前には、店主が作ったらしい芝生の庭があり、客はセルフでその庭に置かれた席で食べる。
「何が入っていて、どうやって作るの?」
窓口で、お金を払いながら若い女性が尋ねた。
「内緒です。すみません。」
店主はお金を手提げ金庫の中に入れながら答えた。
メニューは、
骨付きチキン、大きなジャガイモがそれぞれ一個入ったさらさらのチキンカレー。
鳥挽肉のキーマカレー。
とろとろの豚バラブロックが2個入ったポークカレー。
レンズ豆を使ったダルカレー。
の4つだけ。どれも600円。
店主は
「始めは基本をしっかりとしたいので。」
と言う。
先ほどの女性客は、チキンカレーの入った器と、コップにスプーンと水を入れたものを手に持って空いている席に座った。
天気のよい日はこうやってピクニック気分で食べられるが、風雨がきつい日は客は車まで持ち帰って食べた。
幸い、ここ数日は秋の晴天で、日曜日の今日も木陰で虫が鳴く気持ちのよい日差しだった。
白いご飯とカレーを一口食べると、香辛料の香が鼻を抜け、程よい辛さが舌を刺激した。
辛さの調節はカイエンペッパーのスープで行っているらしい。
女性は鞄からカメラを取り出して、一口食べたカレーを写真に収めた。
どうやら、期待に沿ったらしい。
そして、カメラを脇に置くと、再び食べ始めた。
女性の斜め前の席には、若いカップルが食べていた。
「ちょっとちょうだい。・・・・・からー。何辛?」
「大辛。美味しいんじゃない?」
「そうね。油でもたれないしね。」
「何が入っているのかな?作れるこれ?」
「そうねえ。出汁はきちんと採らなきゃいけないと思うわ。コクの素だから。後は基本的に具はミキサーでペースト状にしてと言う感じじゃないかしら。
スパイスの基本はパプリカとターメリックと胡椒とカイエンペッパー、唐辛子ね。後は塩が大事じゃないかしら。
生姜とニンニクもたくさん入っていると思うわよ。」
「今度作ってみてよ。」
「いいわよ。その代わり、後片付けは・・・・」
「やるやる。」
男は、スプーンを止めることなく口に運んだ。
「ご馳走様。美味しかったわ。何処に返せば?」
「こちらで頂きます。」
と、プレハブ店舗で店主は客から皿を受け取った。
「何処に行こうか?」
「そうね。お腹も膨れたし、街にでも出てみる?」
客は満足そうにカレー屋の庭を後にした。

最近カレーがマイブーム。
スパイシーでコクのあるさらさらのカレーが大好きです。
ホットなドライカレーも。

カレーのすべて

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