ブブブ
文字を打ち込むごとに
震えるマシン。
ネットワークに繋がる。
ブログを投稿。
説明書なし。
ヘルプなし。
画面をさわる。
動くマシン。
小さな画面の上で滑り踊る指。
解らないマークに止まる思考。
散らばる考え。
ブブブ
文字を打ち込むごとに
震えるマシン。
ネットワークに繋がる。
ブログを投稿。
説明書なし。
ヘルプなし。
画面をさわる。
動くマシン。
小さな画面の上で滑り踊る指。
解らないマークに止まる思考。
散らばる考え。
老いる。
しかし、トレーニングを行えば老いた筋肉は成長する。
しかし、若いようにはいかない。
なので、傷めすぎてはいけない。
だが、弱すぎてもいけない。
適度に、
壊れない程度に。
強く。
継続する。
楽しく。
しかし、同じスタートでも直ぐに離される。
何とかなるものではない。
羨望を抱く時、本当の老いを知る。
そして、老いという言葉が殻となって過去のプライドを守っている。
俺、おっちゃんだなぁ。
無いものに気が付く。
冷や汗が出る。
座り込む。
やっと記憶を巻き返し探し始める。
一体どこで失くしたのだ。
ひょっとしてこの下に?
どけてみるが何もない。
例え記憶の片隅から探し出したとしても
誰かが拾って、持ち去ったかもしれない。
それってとっても大事なものなのか?
失くしたら大きな損害が生じるのか?
それほどでもあるまい。
わずかな損害。
ちょっとした不運。
対応できる出来事。
許容範囲。
やっと失くしたものから気持ちを切り替え始めるが、
いつまでも想う。
次第に大切なものに変わっていく。
峠を越え、真っ暗で寒いダウンヒルをやり過ごし、街の入り口の信号で止まった。
サイコンを見ると340km。
あと60kmちょっとでゴール。
赤い信号機の向こうの空が少し青くなっている。
ライトのバッテリーが心配だったが、もうすぐ夜明け。
青に変わりチェックポイントのコンビニへ滑り込む。
ホットラテを注文する。
レシートをクリップでブルべカードに留めて、時間を記入する。5時23分。
外に出ると先ほどより明るくなっている。夜明けか。
消された星空を見ながら飲んでいるとヘッドライトが眩しいライダーが
「おはようございます~。」
と、滑り込んできた。
ロードバイクを立て掛けて、ライトを消すと彼の目も空に向けられた。
「明けますね。」
「ええ。下り寒かったですね。」
と答えると、
「無茶苦茶・・・ハハハ」
と笑いながらがコンビニに入っていく。
山の端が赤くなってきた。
今回何個目かのブラックサンダーを一口かじる。
ホットラテを飲む。
単純に美味い。
そして夜明けが美しい。
コンビニから出てきたライダーが、
「寒いけど綺麗ですね。」
とビックサイズの熱い飲み物を飲み、パンをかじった。
「朝はパン派ですか?」
「はい。」
と彼は言った。
小さい水槽の中に金魚が三匹。
子供が、夏祭りでジジババに買ってもらった三匹は、11月になっても元気に餌を食べている。
自分が子供だった頃、同じようにお祭りで赤い金魚を買ってもらったことがある。
勿論、金魚すくいのオマケ、つまり一匹もすくえなかった残念賞。
自分の子供も同様に、オマケの三匹だ。
家に帰って洗面器に金魚を放すと、周りを調べるように金魚は泳ぐ。
上から眺める、揺らめく金魚はとなんとも涼しげで心地が良い。
しかし、二三日すると金魚は死んでしまう。
餌をやった記憶はないし、エアーを水に送り込んだ記憶も無い。
川から取ってきた水草を入れたくらい。
金魚は庭の隅に埋められて、夏が終わった。
子供心に、これでは金魚は生き続けられないと、どこかで思った記憶があり、
自分の子供の金魚には出来るだけの事はしてやろうと、
ホームセンターで金魚の飼育セットを買って餌も買ってきた。
その甲斐あって今まで生きている。
なかなかに面倒なもので、金魚の糞はスポイドで取ってやらなければならず、
たまにはエアレーションのフィルターを掃除、水換え、たまの時間が潰れるのは事実だ。
けれども生き物、子供も自分も含めて、同じように生きているのだなと改めて思う。
小さい水槽の世界でしかないが、金魚は夏に比べて大きくなっている。
好きなこと。
ご飯を食べる事が好き。
暖かい布団で心安らかに寝るのが好き。
好きなことをずーとすることが好き。
疲れたら休むことが好き。
嫌いなこと。
食べたいものが食べられない。
寒くて汚い五月蝿い場所で寝ること。
嫌いな事をずーとすること。
疲れを我慢すること。