【楽天ブックスならいつでも送料無料】スペードの3 [ 朝井リョウ ]
朝井リョウという小説家の本を初めて読んだ。
いろいろと話題作を書いていて、1989年生まれ(私が大学に入学した年!)の若い、
しゅっとしたイケメン作家ということはメディアで知っていたけれど…
三部作構成で、
舞台女優のおっかけでリーダー的役割を果たす女性の地位の崩壊、
小学校では皆にばかにされていた女子が自分で自分を変えようとする話、
落ち目の舞台女優の葛藤と決心…
だ。
女子の、ネガティブな部分や、人間関係のこまかーい齟齬などを繊細に描いている。
すごいな、うまいな、これからどんな作品を書いてくれるのか楽しみ。
どの話からも、女子が変わるきっかけになるものは同世代の女子だということが感じられる。
仲良くなれなくても、日常的に接する他者の影響の大きさ、恐ろしさにあらためておののいた。
自分では気づいてなくても、私によって人生狂った人もいるんかもなあ…
あまり物事深く考えず行動してきたし…
居たとしたら謝りたい。
カテゴリー: 小説 青春
しろいろの街の、その骨の体温の
【送料無料】しろいろの街の、その骨の体温の [ 村田沙耶香 ]
主人公は、目立たない小学生、結佳。クラス内の女子同士の関係に面倒さを感じながら過ごしている。
だんだん範囲を広げていく、無機質なニュータウンに住む結佳は習字教室で一緒の伊吹という男の子となんとなく
仲良くなる。小柄で子どもっぽい伊吹を「おもちゃ」にしたいという欲望を持ち、ある日彼にキスをする。
習字教室の帰りに、ときどき結佳の方からキスを迫るという関係が続いて・・・彼らは中学生に。
いわゆるスクールカーストができあがり、結佳は下から二番目のグループ。伊吹は上の方のグループにいた。
さて、彼らの関係はどうなるのでしょう?!
中学生の残酷さ、面倒な人間関係、恋愛の苦しみ、外見のコンプレックスにもだえ苦しみ・・・
といった「疾風怒濤の時代」「中二病」を実にリアルに描いていた。
ほんと、この時代にだけは、戻りたくない・・・
はっきりいって、結佳の伊吹に対する思い&行動は、中学2年のつもりになっても、あんまり共感できない。
でも、後半から最後にかけての伊吹と結佳のやりとりは、もう、読んでいてドキドキしまくった。
切なかった。
子持ちの40代のオバはんでも、中学生みたいにときめくことができるのが、読書の醍醐味だなあ。
そして、伊吹がいいやつすぎる!こんな子が中学のときにおったら、私も好きになってたかなあ。
いやいや、いい子すぎて、警戒してたかも。
こんな風に、男子を好きになれる気持ちが、ちょっとうらやましいです。
行動は、おいといて。
とーーーーっても面白かったです。心に残るフレーズもたくさんありました。
名作だと思います。
鶏が鳴く
【送料無料】鶏が鳴く [ 波多野陸 ]
群像文学賞受賞作品だとか。
高校生の男子である伸太は、かつてのバンド仲間で今は不登校でひきこもっている健吾の動向が気になる。
夜中に健吾がコンビニに行き、ジャンプを買うことを嗅ぎ付けた伸太は、なんと彼がコンビニに
行っている間に、健吾の部屋に忍び込む。
健吾に電話をかけ、彼の部屋にいることを伝える伸太。それでも健吾は思ったより驚かない。
二人は、特に仲良くない。小学校のときも喧嘩をしたし、バンドのときも、なんとなく
しっくりしなかった。恋人も、伸太がとっちゃった。
「素」の自分で互いの気持ちを話し、どっちが「上」かを確かめようと、明け方まで
語り合う。
…小説は短めの長編だけれども、一晩の出来事。二人の長い、長い会話が中心。
しかし、プライドの塊である伸太が、健吾と腹を割ってはなしたいけど素直にできないという
屈折した感情、そして、会話の中で伸太の心情や考えがぐぐぐーーーっと変わっていく
さまが見事に表現されていた。
感想は、男子って本当に大変ね、プライドのぶつかりあいで…という感じ。
寿命が女より短いのもわかるわぁ。
女子は、共感する生き物なので…。
しかし、この小説に出てきた『二十日鼠と人間』という小説を読みたくなりました。
こういう出会いがあるから、楽しいです。
もし高校野球のマネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら
【中古】ライトノベル(その他) もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら / 岩崎夏海【10P24Jun13】【画】【中古】afb
高校生に勧められて読んでみた本。
かなり、話題になっていたベストセラーであり、読んでみたいと思っていたが機会がなかった。
知らなかったのだが、テレビドラマにもなっていたとか。
わかりやすいストーリーであり、まさに「ライト」な小説だった。
文学的な価値は???
しかしドラッカーのマネジメントを手にとってみたくなる。
(家にはあるが、まだ読んでない)
話ができすぎていて、漫画てぃっく。登場人物があっさりと(?)死ぬあたり、
なかなか変わらないはずの「大人」(監督)が変わるあたり、そして
公立の進学校があっさりと甲子園に行ってしまうあたり。
でも、高校生が少しでも読書に親しむためなら、
このような本もいいのかもしれない。
やる気も出るし。
私も「顧客」のためにガンバろう、と思います!
すみれ 青山七恵
【送料無料】すみれ [ 青山七恵 ]
お盆休みの一日、やさしーい夫が子どもを近所の公民館に連れて行ってくれた!
そのスキに、40分ほどで読み終えた本。
主人公の藍子はデキる両親をもった平凡な中学生。
ある日から、両親の大学時代の友人だという「レミちゃん」が家に住みつく。
レミちゃんは昔は小説家志望だったらしいけれど、
37歳で働きもせず、家で汚いフリースを来て煙草をふかしている。
両親は忙しく「レミの話し相手になって」と藍子に言っている。
レミと藍子はよく話すようになり、小説家になりたいという藍子に『チボー家の人々』
を勧めたりする。(もちろん、読めない)
…レミちゃんは結局、大人になりきれず、両親もレミちゃんを抱えきれず、
予想通りの結末だった。
青山七恵氏の作品にしては、ちょっともの足りなかったし、こういう話は
どっかで読んだよなあ、という感じがした。
小説観、というものが小説の途中と最後に出てくる。
「いちばん大事な言葉に何枚もいらない飾りの言葉をかぶせて、包んで、本にして、知らないだれかに投げつけてるの。そのうちたった一人でもいい、だれか一人が最後の大事なひと言にたどりついて、それを何かの助けにしてくれたなら、今まで自分が手を放してしまっただれかが、別のだれかにきっと救われるんだって、ほとんど祈るみたいに、無理やりそう信じて、書いてるの」
…これは藍子のことばなのだけれど、=青山氏の考えだったら、なんかつまんないなあ。
そんなに早く小説家としての手のうち見せなくてもいいんじゃないかなあ。
って思う私はひねくれもんでしょうか?
よろこびの歌 宮下奈都
【送料無料】よろこびの歌 [ 宮下奈都 ]
仕事上の必要にかられて読んだ本。
前に紹介した宮下氏の小説よりも、ずっとずっとよかった。
これといって特徴のない新設の女子高が舞台。
御木元玲は、高名なバイオリニストの娘。
音大附属高校の入試に失敗して、新設の女子高に不本意入学する。
そこで何事にも無関心に、日々をすごしていたのだけれど、
合唱コンクールの指揮者に選ばれてしまう。
やる気のないクラスメートたちに、本気で歌わせようとするのだけれど、
失敗する。
でもそのあとのマラソン大会で、自然に歌が生まれる瞬間に立ち会う…
という表題作のほか、連作形式で女子高生たちの鬱屈とか、再生とかを描く。
とてもよき青春小説です。
ブルーハーツ・ハイロウズの歌の題名がモチーフになっています。
久々にブルーハーツを聞きたくなってきた♪
獅子頭 楊逸
【送料無料選択可!】獅子頭(シーズトォ) (単行本・ムック) / 楊逸/著
購読している新聞に連載されていた小説。
楊逸氏の小説は好きなんだけれど、新聞小説はどうも苦手で、読み続けられた
ためしがない。
単行本になったので、イッキ読み。
中国の農村の次男、二順が、父親の転職によって雑技学校に入り、
ケガをきっかけに料理人を目指し、腕を磨き、結婚し、
妻子を置いて日本に行き、そこで年上の女性に誘惑され妊娠させてしまい、
結婚する羽目になり、苦悩する…といった内容。
ユーモアもあり、ヴィルドゥングスロマンの趣もあり。
田舎の純朴な青年の内面はなかなか成長しないのだけれど、
周りの人に支えられていることにいつか気づくといったさわやかな結末だった。
中国人といえば、最近の日本ではなんだかよくないイメージがつきまとうけれど、
楊逸氏の小説には不思議と悪い人は出てこない。
「ここで普通裏切るだろう」という展開の場面でも、裏切りがなくてほっとする。
作者の純粋さと性格のよさが伝わってきます。妙な比喩は笑わせてくれるし。
この人に芥川賞をあげてよかったと思う。
私が言うなんて偉そうだけれど、才能あると思うなー。
でかい月だな 水森サトリ
![]() 【送料無料】でかい月だな 苦役列車 西村賢太
|