新聞の書評で、売れている本、とあったので読んでみた。
大手企業に勤めるキャリアウーマン亜紀の29歳から40歳までを描いている。その年に起こった社会現象や事件なども書かれていて、亜紀の生きた時代は特定できる。
キーワードは「運命」。出会い、別れ(とくに死別)を通して自分の運命を凝視し、振りかえり、驚愕する亜紀。あんまり救いのある小説ではないけれど、主人公の内面的成長、変化を丁寧に描いている。
登場人物がみんな「平均以上」で恵まれたバックグラウンドを持っている点がちょっとなー、と思ったけど、それでも悲しい運命には支配されている。
亜紀が自分の過去の選択について驚愕したり後悔したりしているところは、面白いと思った。
「後悔はしてない」って、言い訳のように言う人は多い。私も自分の選択を後悔するなんて大嫌いだから、あえて考えない。でも亜紀は後悔から逃げていない。これを描いている点は優れていると思った。
人は悲しみとか苦しみとかを通してこそ、内省的になるのですね。