憎まれ役 野中広務 野村克也

野球にも政治にも興味はあまりない。でも、これだけ日本の政治がヒドイと、ちょっとは政治が気になっている。小泉政権の負の遺産がいろいろ取りざたされているけれど、そのときの「抵抗勢力」だった野中さんのことをふと思い出して、この本を(読みやすそうなので)読んでみた。野中氏と野村監督の共通点は「憎まれ役」。対談でも書簡形式でもなく、ただ交互に自分の思うことを書いている。
野中氏が他の政治家と違うところは、「たたきあげ」の政治家だということ。
町議からはじまって、町長、府議会委員、副知事を経て59歳で国会議員になっている。
二世議員が実に多い中で、「めずらしい」というのも、日本の政治の情けなさか。
野村監督も、貧しい育ちで、決してスター街道を歩いてきた人ではない。私は「犠牲フライ」も「ヒットエンドラン」も意味ワカラナイので、野球について書いているところはよく理解できなかったが、地道な努力とか、リーダーの器とか、学ぶ言葉は多かった。
とにかく、日本の野球(とくに巨人)のダメさ加減を辛口に述べている。
野中氏の言葉からは、今の政治への歯がゆさが伝わってくる。2007年に出版された本だけれど、「小泉さんは自民党ではなく日本をブッ壊した」とすでに指摘している。
小選挙区制の弊害も、理解できた。
いちばん良かった言葉は、「政治家はマスコミではなく歴史に判断されるべき」というもの。
うん。そうだよね。自民党の総裁も、変わるかもしれないけど、また、「人気のありそう」な人にしようと躍起になるんだろうな。
野中氏は83歳。政界復帰はないにしても、もっとメディアに出て発言すればいいのに。
テレビは本より影響力が強いですから。