八月の青い蝶


【送料無料】八月の青い蝶 [ 周防柳 ]
小説すばる新人賞受賞作だとか。
広島で被爆した亮輔は、末期がんで、2010年8月、病院から家へ戻る。
娘と妻は、父の持ち物から、古すぎる青い蝶の標本を見つける。
亮輔が被爆した日からずっと持っていた秘密とは…
広島で被爆した人の事情、内面を丁寧に綴っている。
いやなことは忘れる日本人の性質。いやなことを思い出させてくれた小説だった。
好戦的?な総理大臣になって、兵隊に行かなければならない日が来るかもしれない…
誰が傷つく?市井の人間ではないの?平凡な、小さな幸せを守って生きている庶民では?
中学の時に行った広島で、「安らかに眠ってください 過ちは繰り返しませぬから」という碑の文字を
私も確かにみた。バカな中学生だった私は、そこに「千羽鶴」を置いてきただけで満足していた。
でも、この「安らかに…」のことばの釈然としなさ、これを亮輔が語っていて、
まさにそうだ、違和感を覚えて当然だ、と思った。
「過ちを繰り返さない」という主体は誰なのだろう?
われわれ?でも、この国民性からいって、「まあ、しょうがないよねー」と
流れに任せてしまうのではないか?
重いテーマですが、エンターテイメントとしても読めます。