題名:ハードボイルド/ハードラック
作者:吉本ばなな
世の中には二種類の人間がいる。霊感の強い人と、全く霊感のない人。
私は後者。幽霊を見たこともないし、身近な人が死んだときもなんのメッセージも受け取らなかった。
霊感の強い人が言うには、私の実家には「何か居る」そうだけれど、なーんにも感じたことがない。
吉本ばななは、「霊の世界」というか、死者と生者の結びつきを信じている小説家だ。
大げさでなく、「こんなこともあるのかな」と思わせてくれる。そして、死者と生者を結びつけるものは愛であり、この世とあの世は薄い膜でつながっていて、ときに行き来してしまうことがあることを描いている。
考えてみるに、よくテレビで「心霊写真特集」とかをやっていて、見たら「見るんじゃなかった・・・」と怖ーくなるんだけど、なんで幽霊って怖いんだろう?
直接自分に危害を与えるわけでなし、何か後ろ暗い気持ちがあるわけでなし。
でも、生きている人間は、死んでしまった何億何千の人に対して「生きていてスンマセン」という気持ちが潜在的にあるのかもしれない。
本の話に戻ると、んー、親しい人が死ぬのは悲しいけれど、なんかそこに意味はあるっていうことかなあ。