いのちの輝き

3週間前、近くのお店の外の階段で滑り落ち、臀部を強打!

歩けないほど痛みが強く、徒歩五分の家にも帰れず、夫に迎えに来てもらい病院へ。
幸い、骨は折れていなかったが、本当に、本当につらかった。

今は普通に歩けるけれど、まだ上向いて寝られない。(尾てい骨を打ったため。)

さて、そのような状況で読んだ「自然治癒」についての本。

近代医学に対するアンチテーゼともいえ、大変興味深く読んだ。
今の私のけがを治すのには役に立たなかったが、何回も読み返したい本だ。

自分が生まれたとき、なにかトラブルがありませんでしたか?
そういうことがあとになって体の症状になって出てくるそうだ。

「トラウマ」をあなどってはいけない!

ああ、この人に治療していただきたい。

おすすめの本です。

バラカ

桐野夏生の小説。
なんだか忙しい小説だった。

大手出版社に勤める沙羅という女性が42歳になり、子供がほしいー!と思ってドバイでかわいい子を買う。

しかし、全然なつかない子ども。内心頼りにしていた母も他界し、心の隙間に入り込んできた
川島という男の子を妊娠。結婚。

東京の家を売って、岩手へ引っ越し。そして大震災に遭う…

登場人物に共感できるところがなく、災害が起こり、どんどん人が死に。

暗い気持ちになる。

最後はいちおうはぴーエンドなんだけど、無理やりって感じだった。

いい小説だと思うんだけれど、もう一回推敲して落ち着いて書けばもっといいんじゃないかな~

なんて上から目線の感想でした。

繭 

青山七恵氏の新しめの小説。

主人公は美容師の舞。
数年前に独立し、バリバリと働いている。

夫は専業主夫として舞を支えている。よくしゃべる、気の利く、夫。
(どうも頭の中に浮かんできたイメージが「楽しんご」だった)

普段は仲良しの夫婦なのだけれど、舞は夫への暴力が止められない……

妻から夫へのDVがテーマなのかと思いつつ、内容はもっと複雑。

同じマンションに住む「希子」が「舞」と知り合いになり、いろいろと地味に変わっていく。

途中で、小説の視点が「舞」から「希子」に変化する。

・・・明るい気持ちにはなれないけれど、実に面白かった!

夫である「ミスミたかし」が気味悪く、人間てつくづくわからんなあ~とおもう。

けっこう長い小説だったけれど、2日で読了。
おすすめです。

まく子

西加奈子氏の新刊。

またまた少年が主人公。

小さな温泉街の小さな旅館の息子である「ぼく」。ある日、美少女のコズエが転校してきて、
自分の旅館の従業員の寮に母子で住み込む。

コズエが気になってしょうがない「ぼく」、そして周りの大人。子ども。

5年生になって、女子たちはなんだか急に大人っぽくなっていき、
男子はみんな相変わらずバカである。

自分はバカみたいな「男子」でいたくない!と考える「ぼく」だった。

思春期の初めの時期のたいへんな、ヒリヒリするかんじをうまーく描いていたと思う。

せつなさも満点。

「男子」のみなさん、かつて「男子」だったみなさん、かつて「男子」であることが
嫌だったみなさん、読んでみてくださいね。

10代の脳

仕事で10代の子たちと接する日々。そして、母親としてはいずれ10代になる息子を持つ。

中高生はなんであんなにわけわからないことばっかりするの?

と日々思っているが、なんか謎が解けたような、思っていたことがまさに言葉になったような。

アメリカの研究者の本なので、(自身も子持ちである)詳しく、説明の言葉は十分に尽くされている。
とにかく、10代では脳が完成していないので、とくに自分を抑える前頭前野が完成していないので、
さまざまな危険があるし、自分で自分がコントロールできないとのこと。

なるほど…

ながら勉強は10代には×、アルコール、喫煙も確実に知能指数を低くし、睡眠不足は大敵。などなど、
当たり前といえば当たり前のことが書いてあった。

しかし、私のような40代の脳は、一応、完成しているのか、若い子に腹が立たなくなってきた。
(息子には別)
この間も仕事中、中学生にひどいあだ名を面と向かってと言われたけれど、あんまり傷つかなかった。
「それは私のあだ名か?もうちょっとひねってほしかったわー」と返した。ハハハ。

もうすぐ息子が卒園。なぜか尾崎豊の「卒業」が歌いたくなって(ちっとも好きではなかったんだけれど)
「行儀よおく真面目なんてクソくらえと思った~」と歌っていたら、息子が
「かあちゃん、クソくらえって何?」
「ウンコ食べなさいってことよ」
「じゃあ、お行儀のいい人はウンコ食べなさいってこと?」
「そーだね」
「……」

昔は苦手だった尾崎豊の曲も、名曲だなあと感じるのは、中年になって寛容になったからでしょうか?

教育関係者、親、には「10代の脳」はおすすめの本です。

ぼくのおじさん

「がまくんとかえるくん」シリーズのアーノルド・ローベルの絵本。

寝る前に子供に読んでみたところ、私はそうでもなかったけれど、
子どもが非常に強く反応した。

5歳になって、一度読んだ本を「もう一回!」と言うことは少なくなってきたのだけれど、
何回も読んでほしいという。

私も何回も読んでいるうちに、この本にあふれる愛、別れの切なさ、相手を思う心がじわーっとしみてきた。

間違いなく、名作。傑作。

多くの人に読んでほしい。

この「がまくんとかえるくん」のシリーズもたまらなく好き!

何回読んでもいい。もちろん子どもの本なんだけれど、描いているものは大人にも通用する。

子どもといっしょに、本当に感動できます。笑えます。

消滅世界

怖すぎる小説だった…

舞台はいつごろかわからないけれど、近未来の日本。

その日本では人工授精がメインであり、それによって「家族」を作る。
「交尾」によって産まれた子供は奇異の目で見られる。

主人公も数々の恋愛?を経て「家族」となる男性と結婚し、
理想郷で子育てをしようとする…

人工授精がメインとか、男性も人工子宮で妊娠するとか、
いつかはそうなってしまいそうな世界。
その中で「人間」の持つ苦しみはどんなものだろう……

よくこんなこと考えるなーと感心したが、読後感はあまりよろしくない。

なんでだろう。こんな世界にまったく共感できないと思いつつも、
妊娠・出産を徐々にコントロールしてきた人類の歴史の中の一人として
かすかな罪悪感を感じさせられるからか?

一読の価値はあります。

愛のようだ 

40歳にして免許を取得した戸倉は、友人の須崎とその恋人の3人で伊勢神宮にドライブにでかけた。
ある「願掛け」に……

80年代から90年代の漫画、ポップスが彩る物語。

懐かしい…と思うものも、知らんなあと思うものも。

「ドライブ」が中心のお話しなのだけれど、友人たちとドライブがしたくなった。
久しぶりに……

今は子どもとのドライブが中心なので、車の中で聞けるのは「ドラえもん」とか、息子の
はまっているゴダイゴの「モンキーマジック」とか……(古い!)

相変わらず草食系小説で、長嶋有氏らしいのんびりした展開なのだけれど、

最後のページで不覚にも涙が。

「愛」に満ちた小説でした。

朝が来る 辻村深月

あまり期待しないで読み始めたが、夢中になってしまい3時間で読了。

5歳の幼稚園児の男の子をマンションで育てる佐都子。

園ママとのつきあいも難しいが、子どもはかわいく、美しく、幸せに暮らしている。

ある日、元気のない女性の声で電話がかかってくる。

「子どもを返してくれませんか……」

不妊治療、養子縁組、望まない妊娠……転落人生。

社会的なテーマも含み、かつ、かすかにサスペンスタッチ。

読み終わった後は、これでいいんかな?どーなるんかな?と思ったけれど、

読んでるときは楽しかったからよい。

夜中、読み終わった後、隣でスース―寝ている5歳の息子の顔を見て、幸せをかみしめてしまいました!

可愛い世の中 山崎ナオコーラ

山崎ナオコーラ氏の新刊。

大学を出て有名メーカーに勤める豆子は、付き合っている男性との結婚を決意する。

豆子貯金600万。彼は貯金4万の、高卒のマッサージ師。

自分の金で結婚式をしようとする豆子だが、いろいろ、悩み、考える……

・・・・・・なにかイライラする小説だった。それが狙いなんだろうけれど、

豆子がぐちゃぐちゃ考えすぎていて、こういう人を真のワガママ、っていうんだと思う。

だけど、世間の価値観や慣習に流されずに、結婚というものを自分の頭だけで考えようとする
ところはユニーク。

しかし、読後感よくない。
すかっとしない。

さきほども言ったように、それが狙いなんだろうけどね。