トロンプルイユの星 米田夕歌里

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人質の朗読会  小川洋子

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at Home 本多孝好

at Home

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炎上する君  西加奈子

炎上する君

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リアル・シンデレラ  姫野カオルコ

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サラの鍵  タチアナ・ド・ロネ

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星がひとつほしいとの祈り  原田マハ

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戦友の恋  大島真寿美  

戦友の恋

作者:大島真寿美
漫画の原作者を主人公にした、連作小説。
主人公の佐紀は漫画家になることを断念した原作者。ずっと一緒に仕事をしてきた編集者の玖美子は、若くして病気で亡くなってしまう。
友達、というよりも戦友だった玖美子。大事な友人の喪失の悲しみは直接には描かれていないものの、じわじわと行間から伝わってくる。
主人公はおそらく30代終わりごろ。連作小説の中では玖美子のエピソードの他にも、若い編集者とのやりとり、同級生の男の子との再会と彼の挫折、いきつけの店の人の病気など、人生の後半にさしかかったものの「憂い」がさりげなく描かれている。
喪失体験。肉親とか、家族とか、友人とか…私だって親しい人を喪うのがどんどん増えてきそうだ。まだ、親しい友人を亡くしたことはないけれど、(26歳の時、大学のクラスメイトが亡くなったが)想像すると怖い。
でも、乗り越えるしかないんだろうと思う。
小説の最後には、明るい光も。そう、何もかも失くしてしまったと思っても、また新しく得るものはあるはず。そう思わないと、生きていけないよね。

向かい風  住井すゑ

向い風

作者:住井すゑ
舞台は戦後の茨城の農村。農地改革の嵐に揺れている。
主人公のゆみは農家から農家に嫁いだ。夫の戦死の報告を受け、遺骨はないものの葬式をし、墓まで建てる。嫁として舅と畑に出ていたある日、舅に押し倒され…子どもまで出来てしまう。
舅にはあとつぎを産んでほしい、好きだと言われ、姑には辛くあたられ(当たり前ですよね)
噂好きの婆さんには畜生扱いされ、つらい立場のゆみ。
しかし彼女は運命を受け入れ、近所の格好の噂の的となりながらも子を産み、離れで舅と暮らす。
ところが状況は急展開。なんとシベリアで抑留されていた夫が生きていて、帰ってくるというのだ!時代が時代、状況が状況なだけに、夫もゆみの状況を「しかたがない」とし、一緒に暮らす。もちろん復縁はしないけれども。
夫はあたらしい嫁を迎え(これが、ゆみの妹)るが、その直後に、ゆみの唯一頼りにしていた舅が突然死んでしまう。
ゆみをとりまく状況は厳しいなんてもんじゃあない。しかし、元の夫はゆみを見守り、助けようとする。
そしてゆみも、決して自分の置かれた状況を恨んだりはしない。産んだ子を育てることを第一に考え、ひたすら農作業に励み、常に前向き。
普通だったら挫けるだろうと思う。自分ばかりが不幸だと嘆くと思う。しかしゆみは自分を不幸だとは思わない。
ゆみの力強さ、ある意味での誇り高さに、こんな強さを見習わなくては…と思わせられた作品だった。
住井すゑといえば、橋のない川(第1部)改版

橋のない川(第7部)改版
ですね。ずいぶん前に読んだけれど、すごい作品です。

スノードーム アレックス・シアラー

スノードーム

作者:アレックス・シアラー
ファンタジーであり、恋愛小説であり、ちょっとホラーの趣もある物語。
まさに「物語」と呼ぶにふさわしい小説だった。
ある日、若い科学者クリストファーが姿を消した。彼は、ひたすら「光の減速器」の研究を続ける、ちょっと変わった青年だった。
失踪の際、彼は同僚のチャーリーにある原稿を残した。そこには、不思議な物語が綴られていた。
ドームのなかに信じられないほどのミニチュアをつくることができるエックマン。美術館を開き、財産も築いたけれども、子どもほどの短躯で太った風貌からか、女性の愛を得ることは未だない。
彼は踊り子のポッピーに恋をしていた。しかし、ポッピーは画家のロバートと恋人同士である。ロバートの息子、クリストファーとは仲良くなるものの、ポッピーの愛は得られそうにない。
エックマンはポッピーに新しい作品のモデルになるように頼む。ポッピーは引き受け、ディナーの誘いにも応じるが、恋愛の対象としてエックマンを相手にしない。
ポッピーはなぜか失踪。その後エックマンを訪れたロバートも失踪。一人残されたクリストファーはエックマン氏の養子になり、大学へ行く。
しかし、ある日クリストファーはエックマンのしたことを知ってしまう…
エックマン氏はひどい行為に及んだ人物。自分勝手でひねくれている。でも、なぜか、彼を憎むことができない。可哀想で、切ないキャラクターだ。
愛する人の愛をどうしても得られない悲しさ。これを経験していない人の方が少ないだろう。
誰だって、愛がほしい。時には愛する人を所有したい。そんな人間の悲しさ、愚かさが物語に綴られていた。
今日から12月。冬の夜に読みたくなる一冊です。