抱擁、あるいはライスには塩を 江國香織

【送料無料】抱擁、あるいはライスには塩を

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価格:1,785円(税込、送料別)

ワーカーズ・ダイジェスト 津村記久子

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ツリーハウス 角田光代

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架空の球を追う  森絵都

架空の球を追う

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原稿零枚日記  小川洋子

原稿零枚日記

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Invitation 江國香織ほか  

Invitation

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かけら  青山七恵

かけら

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価格:1,260円(税込、送料別)

角田光代  福袋

福袋

作者:角田光代
短編集。奇を衒った話はなく、どれも日常的な、どこにでもいる人々の関係と心のゆれを扱った作品。
でももちろん、淡々とした日常の描写ではない。そこに潜む小さな事件。
知らないおばさんに「箱」を預けられた洋菓子店の店員。
ある日家の前に捨てられていたビデオテープを見てみるサラリーマン。
離婚届を出した後、赤ちゃんを突然預けられた女性。
恋人の昔の手紙を見つけ出し、盗み読む女性。
母の死後、遺言を前にそれぞれの思惑を持つ兄弟4人。
などなど。どれも、「起こりうる」話だけれど、小説として物語が成立している。
日常にも、無名の人間にもドラマはあるもんだよな、と思わせられる。それを言葉にして物語として成立させるのが小説家。
なんていうか、一般には不幸な出来事の中にも、意味はあり、救いもある、といった内容が多かった。
《私たちはだれも、中身のわからない福袋を持たされて、この世に生まれてくるのかもしれない》
小説の中にある一節。そうね、ラッキーと思うこともあれば、がっかりということも。
百貨店などで、福袋がよく売れているとニュースで言っていた。不景気なのに、中身のわからないものに1万も2万も出す人が多いのは何でだろう?がっかりするとわかっていても何かを期待するのでしょうね。
福袋、買いましたか?私は一度失敗してから(自分の体型が標準ではないことを認識していなかった)洋服類は買わない。せいぜいお菓子福袋。
でも、袋を開ける瞬間って昂揚しますね。人生が福袋だと考えれば、何でもない日常にも発見や変化があるのかも。

2009年 小説ベストテン!

今日は大晦日。豆大福が2009年に読んだ小説のベストテンを発表します。
といっても、順不同。良かった10冊です。お正月休み、今年は短そうだけれど、読んでみてはいかがでしょう?
八日目の蝉  角田光代

最近の角田光代は好きだけれど、その中でもとくに良い。最後の場面でウルウル。
居酒屋  エミール・ゾラ
新潮文庫で読みました。フランスの庶民階級の生活ぶりが分かって、しかもストーリーにもハラハラドキドキ。期待以上に面白かった作品です。
ばかもの  絲山秋子

喪失と再生の物語。悲惨な話だけれど、人間を信じられる。
わたしを離さないで  カズオ・イシグロ

小説の発想も、メッセージもすばらしい作品。忘れられない一冊になった。
幻影の書  ポール・オースター

今年読んだオースター作品のなかではこれが一番。罪を償うとはどういうことか、考えさせられる作品。
ポケットの中のレワニワ  伊井直行

村上春樹『1Q84』にテーマが似てる気がするけれど、私としてはこっちの方が完成度が高い気がする。売れ方の違いが気の毒なほど。『1Q84』が面白かったという人には是非こっちも読んで欲しい。
絶望ノート  歌野晶午

ミステリ?の中では今年一番!ご飯を食べるのも忘れて読めた作品です。
ヘヴン  川上未映子

これも『絶望ノート』と同様、いじめを題材にした小説。よかったです。
犬身 松浦理英子

人間が犬になるというシュールな設定。本来、私はシュールすぎるものは苦手だけれど、これは抵抗なく読めた。人間の邪悪さをあぶりだし、かつ暗い気持ちになりすぎない作品。
巡礼  橋本治

ゴミ屋敷の住人の半生を描いた作品。悲惨なんだけれど、最後に救いがあってよかった。
橋本治氏ならではの、(といってもあんまり読んでないけれど)弱者に愛情のあるまなざしを注いだ作品。
2009年は、私にとってこれまでの人生で最も本がたくさん読めた一年だった。
一年の読書を振り返ってみると、面白くて良き小説に出会うのはけっこう難しいことがわかる。最後まで読んでも肩透かしをくらったり、ありきたりだったり。
また、来年も素敵な作品に出会えますように。

虹とクロエの物語  星野智幸

虹とクロエの物語

作者:星野智幸
クロエと虹子は同級生。40歳になり、同窓会に出席するクロエ。昔からみれば風貌はずいぶん変わっているが、未婚で、民芸の店を開いている。クロエは親友だった虹子の姿を探すけれども、出席していなかった。
虹子はためらった末に同窓会の席に向かうが、残念ながらクロエが帰ったあとだった。
あんなにいつも一緒に居たのに、20年連絡をとっていなかった二人。結局二人は再会を試みる。
虹子、クロエ、ユウジ、クロエとユウジの間にできた胎児の視点から交互に語られる物語。
学生時代には放課後、多摩川の芝生で、二人だけの言葉を交わすようにサッカーボールを蹴り合った虹子とクロエ。
サッカーボールを蹴りあうことが二人にとってどれほど大事だったかが強調されている。
女同士にしては、珍しい設定かもしれない。作者はサッカーファン?と思わせるところがあった。
大人になり、まったく違う人生を歩んできた二人。それでもまた、ボールを蹴りあってみる。
昔の関係にはやはり戻れなくて…
設定はありきたりのようで、でも私にはとても難解な小説だった。何が伝わったか、といわれると言葉に窮する。
40歳。不惑と言われ、容貌も体も衰えるけれども、まだまだ迷いの多い年頃。
そんなときにふと、「昔の親友」とのことを思い出す感覚っていうのはまあわかる気がする。何が変わっていて、何が変わっていないのか。
女同士で、(男同士でも)虹子とクロエみたいに、互いの存在が自分の一部みたいな友情というのはきっとあるんだろう。私はベッタリ関係が好きでないので、経験したことがない。一緒にトイレとか、一緒に教室移動とか、どうでもよかった。
友達も、同じくサバサバしている人ばかり。「妬み」とか「束縛」とか、そういうのが女の友情にはつきまとうけれど、一番勘弁願いたいものだ。
「ニコイチ」という言葉を、数年前に若い子から聞いた。知ってますか?女二人でいつも一緒、二人で一つ、みたいな関係の子たち。
否定はしない。そういう友情の経験があったら、また人生は違った色合いを帯びるのでしょうね。