題名:ボディショッピング
著者:ドナ・ディケンソン
「お金さえあればー何でも手に入るードレスイヤリング真珠の首飾りーー♪」(世界お金持ちクラブの歌 byヘドロ)←アラフォーの方しか分かりませんね…
テクノロジーの進歩で、人体の一部を取り出し、独立したもののように扱うことが現代では可能になっている。
臓器、組織、細胞、そして遺伝子までもが商業目的に用いられ、大金を生み出しているという。お金さえあれば、子ども、健康、若さが手に入ってしまう時代だ。
筆者は、身体の売買にはっきりと反対の立場を表明している。不妊治療の卵子の売買、インプラント用の遺骨の売買(!)死刑囚の臓器の利用など、驚愕の事実を知った。
例えば「臍帯血バンク」。ネットで検索しても、「将来のために臍帯血バンクに登録しておきましょう」なんてページがいっぱい出てくる。(あまり知らなかったけど)
臍帯、つまり胎児と母親を結ぶへその緒から幹細胞を保存しておけば、将来子どもが難病になったときなど、治療のために役立てられるかもしれないとのこと。
でも、臍帯血由来の幹細胞がもたらす治療効果もまだ明確ではなく、臍帯から採取するときには実は母子にそれなりのリスクがあるという。
また、今話題の胚性幹細胞の研究には大量の卵子が必要だけれど、その入手経路はあやしいとか。
これも書きたい。○姉妹の姉さんの唇、膨らんでいる気がするんだけど、くちびるをふっくらさせるためのコラーゲンは赤ん坊の陰茎の包皮細胞から出来ている(ときがある)というのも驚いた。まさか、赤ん坊に許諾はとっていないだろう。
取り出した、切り離された人体の一部は、いったい誰のものなのか…
医学が進めば、それに伴って新しい法、倫理が必要になると思うけれども、法の専門家や思想家、一般人は追いついていっていない。
ぼやぼやしている間に、体は資本として取引されていく。
アメリカ的な考えでは、報酬さえ十分に払えば自発的にリスクを受け入れる人々があらわれて、それでオッケー♪みたいだけれど、絶対に違う考えはある。
ボディショピングをよしとするのは、きのう紹介した池田氏とは、対極の考えだろう。
人間は、どこまで死や老いを怖がれば気が済むんだろうか。
カテゴリー: ノンフィクション
おひとりさまでもだいじょうぶ。 吉田太一
家族の死、自分の死は、絶対にやってくるのだから、目を背けてはいられない。
上野千鶴子のおひとりさまの老後
は、言わずと知れたベストセラー。
私が老後を迎える頃には事情は変わっているかもしれないけれど、老後、一人になったときに「ひとりで暮らす」ためのノウハウが具体的に書かれていて、手元に置いておいたほうがいい本かな、と思う。
ソフト面を中心に、一人で生きる知恵、心構え、お金のこと、暮らす場所のことなど。
介護される側の10か条の心得などもあるが、基本的には「女性」向けの本だ。
今日紹介するのは
おひとりさまでもだいじょうぶ。
著者:吉田太一。
読んでおいてよかった!
筆者は日本初の「遺品整理」の専門会社を設立し、1000件あまりの孤独死などの現場を体験した人。
老人だけではなく、一人暮らしの若者、働く女性、離婚した人、すべて孤独死する可能性があることを知った。
また、もし身内が孤独死し、一週間も発見されなかった場合には遺品の整理代金、死臭の除去作業、アパートなら改装費、場合によっては近隣への慰謝料など、葬儀以外に200万円以上はかかるということ。
「便りのないのは元気な証拠」とは思わずに、一人ぐらしの身内がいたら一週間に一度は安否を確かめねば。
あとは、自分が孤独死におちいらないようにすること。誰だって、一人暮らしになる可能性はある。遺族に迷惑かけないためにも、普段から人付き合いをよくするのがいいとのこと。
「ひとり」にならないための26のアドバイスがあって、「?」と賛成しかねるものもあったけれど、親友でなくても近くに友達を作ることは必要かな、と思った。
(近くに友達いない・・・)
あと、アドバイスとして故障した電化製品はすぐ修理するとか、服を出しっぱなしにしないとか。
だらしない人が孤独死することが多いらしい。
私も基本はだらしない性格。一人になったらほんと、堕落しそう。気をつけねば。
でも、孤独死するのは男性が多いらしい。巻末に著者と上野千鶴子氏の対談がある。男性諸君も読んでおいたほうがいいですよ。
子どもへの性的虐待 森田ゆり
題名:子どもへの性的虐待
筆者:森田ゆり
子どもへの性的虐待が膨大な数で起きているらしい。
深刻な心理的、身体的ダメージがあるのに、家庭内で起きていたりすると適切な介入ができないのが現状だそうだ。
子どもの頃に虐待されれば、それはもう、一生を台無しにするようなダメージになると思う。
実際、性的虐待をうけた子どもは加害者にもなりやすいらしい。
具体的に挙げられていたけど、被害児童は何らかのサインを出しているので、それを見逃さないようにすることを筆者は訴えている。
筆者は子どもの話をどう聞くか、や、対応センターの設置など、被害を受けた子どもたちのための制度改革も提言している。
家庭の中に入ってしまえば、問題は見えにくい。でも、なんとかしなければ…!
幼い子どもにかかわる人には是非読んでおいてもらいたい本です。
平気で他人の心を踏みにじる人々 矢幡洋
題名:平気で他人の心を踏みにじる人々
著者:矢幡洋
凶悪犯罪が跡を絶たない昨今。どうして人を殺せるの?(しかも酷いやりかたで)ちょっと知りたくなり手に取った本。
「反社会性人格とは何か」について教えてくれている。
ホリエモンを反社会性パーソナリティの原像としてとらえ、一章も割いているところがちょっとびっくり。
経済ニュースにあまり興味がないので、ホリエモンの人間性なんて考えたことがなかったけれど、「刹那主義」「快楽主義」「人間関係の軽視」などをホリエモンの著書や言動から浮き彫りにしているので、ああ、悪いことした人なのかも、と思ってしまった。
でも経済犯のホリエモンはちょっと気の毒。
この本では反社会性人格障害の特徴をわかりやすくするため、重大な凶悪殺人犯罪を多数あげ、犯人像に迫っている。
どうやって育てられたら凶悪になるの?これは誰もが知りたいところだと思うけれど、筆者は
1ネグレクト 2不規則でかつ厳しい規則 3ちぐはぐなコミュニケーション 4 幼すぎる年齢で他の子どもの世話を押付けられる・・・などを挙げている。
どうやったら「治る」の?これに関しては、
精神主義によって道徳的感化を行おうとするのではなく、まず「まわりまわって自分の損になるような行動を控えよ」という利害に沿ったレベルから行動抑制を習得させていくアプローチがリアリズム、だとしている。
道徳を教えるにはまず「愛」が前提だと私は思う。「愛」のない人生は、本当に悲惨だ。
人を殺すとはどういうことか 美達大和
本人は否定しているけれど、どうしても『罪と罰』のラスコーリニコフと著者が重なってしまった。
二回殺人をし、今は無期懲役で服役している著者が、出版社に原稿を送ってこの本ができたらしい。「人を殺すとはどういうことか」が分かるかというと、よく分からない。
大きく分けて、殺人をした自分のことと、刑務所で出会った殺人犯の肖像について書かれている。
任侠(ヤクザ)の世界の殺人は、暴力団が究極的には暴力で物事を解決しようとするところだということを考えると、ちょっと特殊。その世界で完結している感じだ。しかし、構成員にも家族や愛する人がいるわけで、殺人は許されることではない。
ヤクザ以外の殺人犯も、おどろくほど罪の意識がない。「あんなところにいたから殺されちゃうんだよ」とかなんとか。こういう性質というのは、ちょっと治らないのではないだろうか。
受刑者によく見られる特徴を18個箇条書きしているけれど、そのなかで「共感性がない」というところが気になった。私がこういった本に興味があるのは、「共感性」のない人が増えているのではという懸念から、というのもある。殺人まではしていなくても、人の痛みや悲しみに驚くほど鈍感な人は増えているのではないだろうか。いろいろな社会的状況が産んだ結果として。
筆者も二人の人間を殺している。文章からも伺えるように、恐ろしく知能の高い人のようだけれど、殺害当時の冷酷さ、逡巡のなさ、他者のことよりも自分の規範に対する強い固執…やはり何かがもともと欠けている人だと思ってしまう。
筆者の父の存在。この父も前科者で、筆者を殺人者にしてしまった面もあるだろうが、また改心させるきっかけにもなった人物。親子、家族の愛というものがどれほど大切かが分かる。
刑務所には一生入りたくないけれど、本も読めるし、ラジオもテレビもあるし、三食つくし、快適そうですね。クリスマスケーキは、要らないんじゃないかと思う。
人を殺すとはどういうことか
だから、男と女はすれ違う NHKスペシャル取材班
今朝、テレビを見て、藤原紀香さんと陣内さんが離婚するらしいということを知った。
うまくいかないんでは、という予想が当たってしまって残念。愛が終わるのがずいぶんと速かったな、もうちょっと辛抱できなかったのかなと、他人事ながら思ってしまう。
いや、あれだけキレイでお金があれば、「辛抱」なんてしなくてもいい。これから何べんでも結婚できっちゃ。お互い。
『だから、男と女はすれ違う』これはNHKスペシャルの「女と男 最新科学が解き明かす性の謎」をまとめたもの。3回シリーズだったこの番組はだいたい視たので、復習にと読んだ。
男と女、が出会って恋しているときはドーパミンが出て「世界は二人のためー♪」状態になるけれど、その最高の状態も続くのは12ヶ月から18ヶ月だそうだ。
男と女にはものの捉え方に違いがあって、時間がたてば夫婦がすれ違うのは自然なことで、子育てが終わってしまえばお互いをつなぎとめるシステムはなくなるとのこと。
夫婦がうまくいく秘訣は、会話の中で相手を「批判」したり「見下し」たりしないこと。特に男性は女性の「気持ち」をよく聞いてあげることが大事だそうだ。
あと、夫婦はよき友達になり、「生きがい」「自己実現」をともに語ることも大切だと。
とくに男性が変わらなければならないと、調査をした博士は繰り返しているらしい。
しかし私もついつい要らないことを言って導火線に火をつけてしまう。反省反省。
この本はほかにも、興味深いことがたくさん書いてあった。
男は「視覚」女は「嗅覚」をつかって自分の相手を探すとか、妊娠に適した「7:10」=「ウエスト:ヒップ」バランスのくびれを男性は無意識に選ぶとか。
ウエスト63ならヒップ90かー。藤原紀香ぐらいだろうか…
将来的にはヒトのオスはいなくなる(要らなくなる)かも、という衝撃の報告も。
科学は苦手だけど、身近な科学は実に面白かった。
タクシー王子、東京を往く。 川鍋一朗
日本交通というタクシー会社の三代目社長が、新人ドライバーになって一ヶ月、タクシーに乗務するというノンフィクション。
この人の経歴がなんかすごい。1970年生まれ、慶應卒、ノースウエスタン大学でMBA取得。34歳で家業を継ぎ、当時1900億円の負債を抱えていた会社を経営改革で立て直した、という。
容貌は、まあハンサムという人もいるだろうな。
一ヶ月の営業収入は平均以上で、売り上げ83万円の62%が給料になり、48万円強。なかなかすごい。タクシー運転手の年収は500万円台だというのにビックリした。もちろん、あくまでも東京での話。田舎では無理だろう。みんな車持っているし。私もよっぽどの時しか使わない。
なんか、普通の乗務日誌なんだけど、新人ドライバーらしく、どうやったら営業収入を増やせるかに腐心し、お客様との人間同士のやりとりに一喜一憂する。文章から伝わってくるのはひたすら、この人の明るさと前向きさ。こういう人でないと、経営建て直しは難しいんだろうなと思う。謙虚な人柄が伝わってきて好感が持てた。もちろん、謙虚な人でなければ、水戸黄門や暴れん坊将軍みたいに実際の社員の体験をしてみようとは思わないだろう。
タクシーといえば荻原浩の『あの日にドライブ』も面白い作品。元エリート銀行マンの主人公が挫折して、ほんの腰掛のつもりでタクシーのドライバーになる。そして、過去を振り返りつつ自分を再生していくという物語。再生話よりも、タクシードライバーの日常の描写が面白く、ちょっとやってみてもいいかも、と0.1秒思わせてくれた。
反貧困 すべり台社会からの脱出
尊敬する方の年賀状に「人間には弱者をないがしろにすることを克服する知性がある」という石牟礼道子の言葉が引かれていた。シビレル。
この「反貧困」。2008年の大仏次郎賞。
今、こうやって暖房のついた部屋でパソコンを触っていられる自分は「溜め」がある分運がいいのだと思った。「溜め」とはこの本では「貯金」「頼れる家族」「有用な資格」などなど。
貧困に陥る人は親から貧困を受け継いだり、病気がちだったりして、本人の責任とはいえないケースも多々ある。
政府は貧困の存在を認めようとせず、役所は違法なやり方で生活保護を求める人を追い返す。
ハローワークが若者向けにつくった「ジョブカフェ」運営の再委託を受けたリクルートが、マネージャーに日給12万、事務職に日給5万の人件費を計上していた、という記述には驚いた。
(日給ですよ)弱者を食い物にした貧困ビジネスを大企業と国が結託してやっていると考えたら恐ろしい。前に紹介した「貧困大国アメリカ」みたいなことに、日本もなってしまう。
貧困は誰でもなりうる。そのときに知識があるとないとでは大違い。現実から目をそらさないために、絶対に読んでおきたい本。
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性犯罪被害にあうということ
著者は端正な美人。その写真が表紙になっている。テレビにも出演したらしい。「勇気のある」被害者、という紹介のされ方をしているけれど、私も全くその通りだと思う。しかしなぜ性犯罪にあったことを公表することが「勇気」なのだろうか。性犯罪の被害者に対して「あなたは100%悪くない!」と言い切らない社会ってどうにかならないものだろうか。
筆者は自分の体験を詳しく語っているけれど、まだ彼女は救われていない。
加害者は捕まらず、結婚をしたものの離婚に至っており、男性と前のような関係を結ぶのが困難だ。結婚していた頃、性交するたびに吐いていたというくだりを読むと、この種の犯罪がいかに人の人生を狂わせるかがわかる。
筆者は、「事実を受け止めること」が被害者にも周りの人たちにも何よりも必要だと言っている。
確かに「周りの人」がオロオロしていてはもっと被害者の心の傷は深くなる。
周りの人は「あなたにも非がある」ということは絶対に言ってはならないと思う。
性犯罪は、なくならないだろう。身近な人にレイプされる例も多く、潜在的な被害者も多いと聞いたことがある。受けてしまった被害の傷を癒す方法をもっと考えねばならないと思う。
身体のケアの面で「レイプケアキット」というのが紹介されていたが、これはもっとメディアで紹介するべきではないのか?と思った。
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