まく子

西加奈子氏の新刊。

またまた少年が主人公。

小さな温泉街の小さな旅館の息子である「ぼく」。ある日、美少女のコズエが転校してきて、
自分の旅館の従業員の寮に母子で住み込む。

コズエが気になってしょうがない「ぼく」、そして周りの大人。子ども。

5年生になって、女子たちはなんだか急に大人っぽくなっていき、
男子はみんな相変わらずバカである。

自分はバカみたいな「男子」でいたくない!と考える「ぼく」だった。

思春期の初めの時期のたいへんな、ヒリヒリするかんじをうまーく描いていたと思う。

せつなさも満点。

「男子」のみなさん、かつて「男子」だったみなさん、かつて「男子」であることが
嫌だったみなさん、読んでみてくださいね。

10代の脳

仕事で10代の子たちと接する日々。そして、母親としてはいずれ10代になる息子を持つ。

中高生はなんであんなにわけわからないことばっかりするの?

と日々思っているが、なんか謎が解けたような、思っていたことがまさに言葉になったような。

アメリカの研究者の本なので、(自身も子持ちである)詳しく、説明の言葉は十分に尽くされている。
とにかく、10代では脳が完成していないので、とくに自分を抑える前頭前野が完成していないので、
さまざまな危険があるし、自分で自分がコントロールできないとのこと。

なるほど…

ながら勉強は10代には×、アルコール、喫煙も確実に知能指数を低くし、睡眠不足は大敵。などなど、
当たり前といえば当たり前のことが書いてあった。

しかし、私のような40代の脳は、一応、完成しているのか、若い子に腹が立たなくなってきた。
(息子には別)
この間も仕事中、中学生にひどいあだ名を面と向かってと言われたけれど、あんまり傷つかなかった。
「それは私のあだ名か?もうちょっとひねってほしかったわー」と返した。ハハハ。

もうすぐ息子が卒園。なぜか尾崎豊の「卒業」が歌いたくなって(ちっとも好きではなかったんだけれど)
「行儀よおく真面目なんてクソくらえと思った~」と歌っていたら、息子が
「かあちゃん、クソくらえって何?」
「ウンコ食べなさいってことよ」
「じゃあ、お行儀のいい人はウンコ食べなさいってこと?」
「そーだね」
「……」

昔は苦手だった尾崎豊の曲も、名曲だなあと感じるのは、中年になって寛容になったからでしょうか?

教育関係者、親、には「10代の脳」はおすすめの本です。