左目に映る星


【楽天ブックスならいつでも送料無料】左目に映る星 [ 奥田亜希子 ]
この著者の本を初めて読んだ。
主人公は、ほんのすこーし目が不自由な女性。
恋人とは別れ、時々合コンに出ては男性との短い付き合いをしている。
ある日、合コンで知り合った人から、自分と同じような目の症状を持つ人の存在を知らされ、
会ってみることにする。
彼女いない歴=年齢、といったかんじの彼はアイドルの追っかけだった。
気が合うわけもなく、彼の行動にドン引きする主人公なのだが…
島本理生テイスト+「電車男」、みたいな感じの話だった。
平凡な恋愛小説といってしまえばそれまでなんだけれど、
いろいろと複雑でして。
面白く読めました。
テレビドラマにはなるんじゃないでしょうか。

卯月の雪のレター・レター


【楽天ブックスならいつでも送料無料】卯月の雪のレター・レター [ 相沢沙呼 ]
ずいぶん若い子向けの本。
中学生とか高校生が読んだら面白いかな…。
がんばって、全編、最後までよんだけれど
さしたる感動は、なし。
推理小説、なのかもしれないけれど、うーん…驚きもなし。
では、愛はあったか?
愛は、ある。だから、全否定はしません。
中学生で、小説初心者にはいいかも…。

八月の青い蝶


【送料無料】八月の青い蝶 [ 周防柳 ]
小説すばる新人賞受賞作だとか。
広島で被爆した亮輔は、末期がんで、2010年8月、病院から家へ戻る。
娘と妻は、父の持ち物から、古すぎる青い蝶の標本を見つける。
亮輔が被爆した日からずっと持っていた秘密とは…
広島で被爆した人の事情、内面を丁寧に綴っている。
いやなことは忘れる日本人の性質。いやなことを思い出させてくれた小説だった。
好戦的?な総理大臣になって、兵隊に行かなければならない日が来るかもしれない…
誰が傷つく?市井の人間ではないの?平凡な、小さな幸せを守って生きている庶民では?
中学の時に行った広島で、「安らかに眠ってください 過ちは繰り返しませぬから」という碑の文字を
私も確かにみた。バカな中学生だった私は、そこに「千羽鶴」を置いてきただけで満足していた。
でも、この「安らかに…」のことばの釈然としなさ、これを亮輔が語っていて、
まさにそうだ、違和感を覚えて当然だ、と思った。
「過ちを繰り返さない」という主体は誰なのだろう?
われわれ?でも、この国民性からいって、「まあ、しょうがないよねー」と
流れに任せてしまうのではないか?
重いテーマですが、エンターテイメントとしても読めます。

ぼくの守る星


【楽天ブックスならいつでも送料無料】ぼくの守る星 [ 神田茜 ]
ディスクレシア(読み書き障害)を抱える中2男子とその親。
弟と心中を試みた母と二人で暮らす中2女子。
五歳の姉を亡くしてから家が姉中心になっている中3男子。
それぞれが家庭でのもやもやを抱えがらも、学校ではフツーの生徒としてがんばっている。
連作小説の形式だったが、かなり、切なく、やるせない物語だった。
中学2年…中2病とはよくいったもので、大人になりかけながらも、
親の束縛や影響からは逃れがたい。
子どもは親の被害者だなあ…と自分自身をも怖く思った。
文体はさわやかで読みやすく、最後にちょっと救いがあるのだけれど、それでも、どんより。
続編を期待したいなあ。
NHKあたりでドラマ化しそうな気がします。

白ゆき姫殺人事件


【楽天ブックスならいつでも送料無料】白ゆき姫殺人事件 [ 湊かなえ ]
内容の深みには期待せず、暇つぶしの目的で読んでみた。
やはり、内容にそれほどの深みなし。
驚きもなし。感動ももちろんなし。
殺された女性はメッタ刺しにされて燃やされたけど、そこまでこの人悪いことしてないよなあ…
最後の「資料」の、ツイッターみたいなやつも、読みにくくてしょうがなかった。
共感はある。
マスコミは、誰かをすぐに分かりやすい悪者に仕立て上げ、
我々はすぐにそれを信じてしまうということ。
自分が知らない間に人を傷つけていることがあること。
つまり、人がどういうポイントで傷つくか、計り知れないということ。
湊かなえ氏は、人の「悪意」を描くのを得意にしているけれど、
こんどはもちっとハートウォームなものを描いてほしいなあ。
きっとうまいと思うんだけど…

スペードの3


【楽天ブックスならいつでも送料無料】スペードの3 [ 朝井リョウ ]
朝井リョウという小説家の本を初めて読んだ。
いろいろと話題作を書いていて、1989年生まれ(私が大学に入学した年!)の若い、
しゅっとしたイケメン作家ということはメディアで知っていたけれど…
三部作構成で、
舞台女優のおっかけでリーダー的役割を果たす女性の地位の崩壊、
小学校では皆にばかにされていた女子が自分で自分を変えようとする話、
落ち目の舞台女優の葛藤と決心…
だ。
女子の、ネガティブな部分や、人間関係のこまかーい齟齬などを繊細に描いている。
すごいな、うまいな、これからどんな作品を書いてくれるのか楽しみ。
どの話からも、女子が変わるきっかけになるものは同世代の女子だということが感じられる。
仲良くなれなくても、日常的に接する他者の影響の大きさ、恐ろしさにあらためておののいた。
自分では気づいてなくても、私によって人生狂った人もいるんかもなあ…
あまり物事深く考えず行動してきたし…
居たとしたら謝りたい。

女のいない男たち


【楽天ブックスならいつでも送料無料】女のいない男たち [ 村上春樹 ]
村上春樹9年ぶりの短編小説集だとか。
二時間足らずで読了。面白かった。
最近の村上作品はどうも…このブログでも取り上げたが「多崎つくる」がイマイチだっただけに、
どうかなーと思って読んだけれど…
よかった。
『女のいない男たち』という題名だが、すべて、女性に去られた男性の話だ。
男性と女性の間にある深-い溝、女性の理解しがたさ…
設定も筋もいろいろだが、共通するテーマはそんなところ。
『ドライブ・マイ・カー』と『イエスタディ』が特に好きかな~
男の純情。泣ける。
『イエスタディ』では、ビートルズの著作権代理人から「訳詩」にクレームが来て、
単行本ではかなり削除されたそうだ。
インターネットで、もとの「イエスタディ」の訳詩を見てみたが…
とても面白いし、原詩からはかけ離れている。クレームつけなくていいじゃん!
と思った。
その他、雑誌掲載時に載せた実際の地名が、その後住民からのクレームで変更になったということも
まえがきにあった。新聞のニュースでは知っていたけれど。
この短編集には長めの「まえがき」があるが、この二点のエクスキューズのために
珍しくまえがきがあるのだと思う。
その他、創作事情をいろいろ述べている。こういうのは村上春樹には似合わない。
いらん!
と思った。
話は変わるが、最近朝日新聞で夏目漱石の『こころ』が連載されているけれど、
毎日ワクワクするほど、面白い。高校生、大学生の頃に読んだ時より、
なんてエンターテイメント性の強い小説なのだろう、と感じる。
歳とってよかった、かな。