文学の門
著者:荒川洋治
詩人の荒川洋治氏のエッセイ集。荒川氏は、朝のラジオで週一回お話している。最近は聞いてないけれど、なかなか面白い話をする人なので、エッセイもおもしろいだろうと期待した。
文学。実学からは程遠い、「やって何の役に立つの?」と思われる学問だ。でも荒川氏は「実学としての文学」「実学としての読書」の可能性をまっすぐに信じている。
以下引用。
《人間の精神を育て、人間のために力をふるう文学は、実学なのだ。》
《本を読まなくなるということは、他人が意識のなかから消えたためだ。小さいときから大事にされ、自分は重要な人だと思ってしまう。自分に体験のないことや、はるか遠い出来事が本のなかに書かれていれば、関係がないと思ってしまう。しかしどんな遠いことがらでも、本を読んでいくと、ことばや語りの姿勢をとおして、興味を感じるようになる。そこからその人は、おおきく開かれていく》
珍しい言説ではないけれど、本を読まない人が増えるのはやっぱり悲しいと改めて思う。
私のように本ばかり読んでその他のことはおろそか、というのも考えものだけれど…
歌(和歌)の分野に関しても、昔の歌をよまない現代の歌人に危惧を覚える筆者。
かつて書かれたものを丁寧に読み返し、素直に感動し、新しい発見をすることで自分の精神を改めていく荒川氏。
作者に対する素直な尊敬とつきない好奇心。私もこんな気持ちを持って読書できたらいいなあと思う。