向い風
作者:住井すゑ
舞台は戦後の茨城の農村。農地改革の嵐に揺れている。
主人公のゆみは農家から農家に嫁いだ。夫の戦死の報告を受け、遺骨はないものの葬式をし、墓まで建てる。嫁として舅と畑に出ていたある日、舅に押し倒され…子どもまで出来てしまう。
舅にはあとつぎを産んでほしい、好きだと言われ、姑には辛くあたられ(当たり前ですよね)
噂好きの婆さんには畜生扱いされ、つらい立場のゆみ。
しかし彼女は運命を受け入れ、近所の格好の噂の的となりながらも子を産み、離れで舅と暮らす。
ところが状況は急展開。なんとシベリアで抑留されていた夫が生きていて、帰ってくるというのだ!時代が時代、状況が状況なだけに、夫もゆみの状況を「しかたがない」とし、一緒に暮らす。もちろん復縁はしないけれども。
夫はあたらしい嫁を迎え(これが、ゆみの妹)るが、その直後に、ゆみの唯一頼りにしていた舅が突然死んでしまう。
ゆみをとりまく状況は厳しいなんてもんじゃあない。しかし、元の夫はゆみを見守り、助けようとする。
そしてゆみも、決して自分の置かれた状況を恨んだりはしない。産んだ子を育てることを第一に考え、ひたすら農作業に励み、常に前向き。
普通だったら挫けるだろうと思う。自分ばかりが不幸だと嘆くと思う。しかしゆみは自分を不幸だとは思わない。
ゆみの力強さ、ある意味での誇り高さに、こんな強さを見習わなくては…と思わせられた作品だった。
住井すゑといえば、橋のない川(第1部)改版
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橋のない川(第7部)改版
ですね。ずいぶん前に読んだけれど、すごい作品です。