虹とクロエの物語  星野智幸

虹とクロエの物語

作者:星野智幸
クロエと虹子は同級生。40歳になり、同窓会に出席するクロエ。昔からみれば風貌はずいぶん変わっているが、未婚で、民芸の店を開いている。クロエは親友だった虹子の姿を探すけれども、出席していなかった。
虹子はためらった末に同窓会の席に向かうが、残念ながらクロエが帰ったあとだった。
あんなにいつも一緒に居たのに、20年連絡をとっていなかった二人。結局二人は再会を試みる。
虹子、クロエ、ユウジ、クロエとユウジの間にできた胎児の視点から交互に語られる物語。
学生時代には放課後、多摩川の芝生で、二人だけの言葉を交わすようにサッカーボールを蹴り合った虹子とクロエ。
サッカーボールを蹴りあうことが二人にとってどれほど大事だったかが強調されている。
女同士にしては、珍しい設定かもしれない。作者はサッカーファン?と思わせるところがあった。
大人になり、まったく違う人生を歩んできた二人。それでもまた、ボールを蹴りあってみる。
昔の関係にはやはり戻れなくて…
設定はありきたりのようで、でも私にはとても難解な小説だった。何が伝わったか、といわれると言葉に窮する。
40歳。不惑と言われ、容貌も体も衰えるけれども、まだまだ迷いの多い年頃。
そんなときにふと、「昔の親友」とのことを思い出す感覚っていうのはまあわかる気がする。何が変わっていて、何が変わっていないのか。
女同士で、(男同士でも)虹子とクロエみたいに、互いの存在が自分の一部みたいな友情というのはきっとあるんだろう。私はベッタリ関係が好きでないので、経験したことがない。一緒にトイレとか、一緒に教室移動とか、どうでもよかった。
友達も、同じくサバサバしている人ばかり。「妬み」とか「束縛」とか、そういうのが女の友情にはつきまとうけれど、一番勘弁願いたいものだ。
「ニコイチ」という言葉を、数年前に若い子から聞いた。知ってますか?女二人でいつも一緒、二人で一つ、みたいな関係の子たち。
否定はしない。そういう友情の経験があったら、また人生は違った色合いを帯びるのでしょうね。