終の住処
作者:磯崎憲一郎
2009年秋の芥川賞受賞作品。作者は大企業に勤めるサラリーマンとか。見た目も新聞紙上などで見る限り、なかなかステキな中年男性。
夫婦の歴史、というあらすじと聞いていたので期待して読んだけれど、「中年男」の歴史という感じだった。
互いに30歳を過ぎて結婚した妻は、ふと不機嫌になるときがある。ある日を境に、妻とは11年間会話をしなかった…
なぜ妻が口をきこうとしないのか、さっぱりわからない。所詮は他人である夫婦、互いに理解不能な存在であるということを言いたいのかもしれないけれど。
しかし、妻との関係がこの話の「筋」ではない。小説にストーリー性は感じられず、仕事して、不倫して、転勤して、家建てて…そういう時間の流れのなかでの主人公の男の意識をだらだらと描写している。
最後の場面の、上司からの手紙の内容がこの小説の「主題」なんだろうけれど、はっきりいって面白い小説ではなかった。
あんまりストーリー性に富んでいて面白すぎると芥川賞は獲れないのかしら。純文学として優れていながら、「面白い!」と思わせる作品もあっていいと思うんだけれど…
インテリな中年男性にはウケるのかもしれませんが、私には共感できる部分があんまりなかった。