世界の果てのビートルズ  ミカエル・ニエミ

世界の果てのビートルズ

作者:ミカエル・ニエミ
スウェーデンの作家による小説。人口900万のスウェーデンで、なんと75万部の驚異的ベストセラーとなった作品らしい。12人に1人が読んでる作品ってすごいですね。
早く言ってしまえば「ビートルズをめぐる少年の成長物語」。ありきたり…な感じだけれど、小説の舞台が特殊。
本には地図も載っているけれど、舞台はスウェーデンの北の果て、北極圏の小さな村。(パラヤ村)
ストックホルムとはかけ離れていて、言語も特殊だし、ラジオを聴くのがやっと。自然は豊かだけれど鉱業・林業ぐらいしか仕事がない。
そんなところに、アメリカのいとこが持ってきたビートルズのレコード。これを聴いて少年は衝撃を覚えずにはいられない。確かに、ビートルズの音楽って、何か心を揺さぶるものがありますよね…
中国人作家の楊逸が、日本にきて尾崎豊の歌を聞いてものすごい衝撃を受けた、という話を思い出した。異文化に触れる感動を味わうというのは、日本で生きていてはなかなか難しい。
主人公のマッティが子供から大人になる過程が綴られているのだけれど、話の筋よりも「異文化」のあり方が興味深かった。
自然の豊かさ、言語の複雑さ、郷土料理、偏狭なムラ社会、完全な男女分業…
でも、考えてみると、世界中どこだって、首都圏・県庁所在地以外は大変な田舎であることが多いですね。
堂々たる田舎文学であり、辺境文学。
作者は実際パラヤ村の出身で、この小説は自伝的な要素が多いらしい。これほどの田舎ではないけれど、熊もウサギも出る農村で育った私としては、未知なる世界への憧れ…それでも古い価値観も捨てきれない…そういう主人公のあり方にちょっと共感できた。
本を読んで、北欧に旅行した気分になりたい人にはオススメです。