46年目の光 ロバート・カーソン

46年目の光

作者:ロバート・カーソン
アメリカのノンフィクション。新聞の書評で、興味を惹かれて読んでみた。
マイク・メイは3歳のとき、不慮の事故で失明した。でも母の教育もあってか、その後40年以上、コンプレックスを感じることなくいつも胸を張って活動的な人生を送ってきた。
子供時代はいつも青あざだらけになって遊び、高校時代はレスリングに熱中し、大学時代にはガーナに一人で乗り込み、趣味のスキーでは障害者スキーの世界選手権で三つの金メダルを獲得。
なんとCIAでも働いたことがあり、今は実業家として目の不自由な人向けのGPSシステムの実用化に取り組んでいる。
女性にも苦労せず、美しい妻と二人の息子をゲット。
しかし、46歳のある日、メイに思わぬ選択肢が与えられた。幹細胞移植手術をすれば、目が見えるようになるという。成功率は50パーセント。リスクもかなり多い。しかしメイは決断。手術を受ける。
手術は成功。43年ぶりに見たものはあまりに刺激的で、喜びと困難、二つのものがめまぐるしくメイを襲う。
目が見えるようになったら、メイが是非見たかったものは何か?それはひたすら「キレイな女の人。」この願望がメイを支えているからすごい。しかし最初は男女の区別すらつかない。妻に手伝ってもらって、コーヒー屋できれいな女性をチェックする練習をする。
買い物にいっても、商品と商品の分け目、区別がつかない。プレイボーイなどの雑誌を見ても、きれいな裸の女性の「奥行き」がわからない。
私たちは目だけではなくて、「知識」を使ってものを見ているのだということがわかる。
200キロ超の女性をスーパーで見かけて「あれはフォークリフトか?」と妻にマジメにたずねてしまうところは笑える。メイは落ち込んでしまうのだけれど。
実際のところ、長く視力を失っていた人が見えるようになったとき、新しい世界に放りだされて戸惑い、ひどい鬱状態になる人も多いらしい。
メイにとっても、見ることは途方もなく疲れる認識であり、映像の洪水を処理しきれない。
でも彼は前向きに道を開こうとしている。
まるで小説のようなノンフィクションで、かなり分厚い本だけれどサクサク読めた。
ハリウッドが放っておかないようなネタだと思う。映画化すると思うなー。