キャンセルされた街の案内
作者:
雑誌に掲載されていた短編を収録したもの。掲載されている雑誌のバラエティーがすごい。
「an・an」「小説現代」「文芸」「新潮」「文學界」など。ゆえにそれぞれの作品も、エンターテイメントの要素の強いものもあり、純文学らしいものもあり。
それだけ、吉田氏は器用な小説家なんだなあと思う。
吉田氏の短編は、わりと読後感さわやか!で安心して読めるものが多いと思っていたけれど、この本の中の作品には「え?これで終わり?」というものもいくつかあった。
やはり、『悪人』で大仏次郎賞を獲って、深淵なる世界に入ろうとしているのかしら?
児童虐待、隣人の忍び込み、万引きなど、犯罪を扱ったやや重い作品もあったし。
しかし、私個人としては、高校の同級生と大阪で久々にあって飲むという話『大阪ほのか』がよかったと思う。主人公は男性だけれど、みな38歳で私と同じ。中年になりつつある人間の逡巡というか、あきらめというか、そういうのがほのぼのと描かれていてよかった。
そういえば『悪人』が妻夫木聡×深津絵里で映画になるみたいですね。ベビーフェイスの妻夫木くんがどう主人公を演じるのか、楽しみ。