居酒屋 エミール・ゾラ

居酒屋改版
作者:エミール・ゾラ  
フランス自然主義作家、ゾラの小説。自然主義だもんね、きっとハピーエンドにはならないだろうと予想しながら読んだ。やっぱり…
主人公のジェルヴェーズは洗濯女(つまり、今でいうクリーニング屋)。二人の子供と、帽子屋のランチエと暮らしているが、ある日ランチエに捨てられる。
必死に働き子供を育てるジェルヴェーズ。ブリキ職人のクーポーに熱心に求愛され、結婚する。二人で必死に働き、夢であった自分の店も持つことができた主人公。ささやかながら幸せに暮らす日々…
と思ってたら、クーポーは大怪我をきっかけに呑み助、怠け者になり、昔の男、ランチエが家にやってきてクーポーと意気投合してなぜか同居し始めるし、ランチエにも再び関係を求められるし、
クーポーもランチエもジェルヴェーズの稼ぎで飲んだくれるし、ジェルヴェーズも堕落して店を手放すし、娘は家出して淫売みたくなっちゃうし…
すべてが堕落の一途をたどっていく。「だめだって、ジェルヴェーズ!」といらいらハラハラしながら、ページを捲る手が止められなかった。
19世紀のパリの下層階級の悲惨な人間模様。でも、そこに描かれる風俗、人々のささやかなあ幸せのあり方などの描写は非常に興味深い。
「遺伝と環境と時代」が人間を作るという信念のもとに小説を書いたというゾラ。この自然主義文学に影響を受けて、日本の自然主義文学が生まれたというけれど…藤村、花袋の作品はここまでの面白さに到達していないような。(藤村の『破戒』は素晴らしいと思うけれど)
続編『ナナ』も読んでみたくなった。
新潮文庫ではゾラの作品は二つしかないのは残念。