太陽を曳く馬(上)
太陽を曳く馬(下)
作者:高村薫
難しかった・・・一度読んだだけでは理解が難しい小説。ドストエフスキーの『カラマーゾフの兄弟』よりも難解だったかもしれない。
ミステリのジャンルに入るのかしら。ある禅寺で持病のある修行中の青年がが交通事故で轢死する。両親は寺の監督の不行き届きを訴え、刑事告訴のために合田雄一郎(『レディ・ジョーカー』にも出ていた)が寺を調べる。
その寺にかつて居た僧侶の福澤彰之の息子、福澤秋道は二人の人間を殺して死刑になっている。
秋道が二人の人間を殺したのはなぜか?
交通事故で死んだ末永和哉、その死の責任は誰にあるのか?
現代芸術・・・アスペルガー症候群・・・宗教・・・哲学・・・オウム真理教の総括・・・伝統宗教の矛盾・・・さまざまな要素が入っていて、実に形而上学的。
引用されている思想も、道元、龍樹、カント、ラカン・・・難しい。
僧侶の福澤彰之が興味深い人物なんだけれど、この人は、『晴子情歌』という作品でも出てくるらしい。まだ読んでいないので、これも読んでみようかな、と思う。
日常の言葉が通じない他者。これを排除し、自分の知っている範囲の世界に安住するか。それとも形而上の世界にまで入り込んで理解不能な何かを理解する過程を繰り返すか。
後者の世界が好きな人にはオススメです。