生きなおすのにもっていの日  田口ランディ

生きなおすにもってこいの日

著者:田口ランディ
『コンセント』『モザイク』などで有名な小説家のエッセイ。
小説は上の二作品ぐらいしか読んでなくて、最近この人の著作から遠ざかっていたのだけれど・・・
前半は主に世の「悲惨な事件」に対する思い。後半は講演の内容や日々思うことなど。
秋葉原の連続殺傷事件。幼い少女に性的行為を無理強いし、さらに殺してしまった男。
マンションに侵入し、隣人女性を殺害した男……。
平凡な私は許せない、酷すぎる、という感想しか出てこないけれど、田口氏の考察は深く深く広がっていく。
少学生の自殺を「うっかり自殺」と定義してみたり、死体をバラバラにする行為を太古の石器時代にまで遡ってみたり・・・
全体を通して、この世界は悲惨だけれど、人生も世界も私は肯定する、という姿勢を感じた。
この人はひきこもりの兄が餓死(!)したという経験を持っていて、エッセイの随所にそれが出てくる。個人的には避けたい体験・・・だけれども、作家としての原動力にもなっていそう。
不幸な出来事はその人の人生を変えてしまう。もちろんプラスの経験だと思えることは一生ないだろうけれど、経験を昇華して他の人へメッセージを伝えられるパワーはすごいなあと思う。