小鳥たちが見たもの
作者はオーストラリアの作家、ソーニャ・ハートネット。
オーストラリアのある住宅地で、三人の子どもたちがアイスクリームを買いに出たまま、消えた。
このエピソードは物語の中心ではないのだけれど、全体に恐怖感、不安、謎・・・を印象付けている。
主人公は9歳のエイドリアン。両親は離婚し、祖母に引き取られている。祖母は厳格で、いっしょに暮らすおじのローリーは25歳のひきこもり。
エイドリアンは運動オンチで学校では友達がひとりしかいない。いつも何かにおびえ、おどおどしている。
そのたった一人の友達もエイドリアンをひどく傷つける。
家庭も安らげる場所ではない。
子どもの眼から見た恐怖、不安、孤独を巧みに描いている。今は全然怖くないことが、子どもの頃は異常に怖かったりしたもの。
全体的に物語は悲惨で、救いがないといえばそうなんだけれど・・・
気が弱そうな子ども、自分の意志を持っていないような子どもにも確かに魂はあるのだよ、と教えられるような作品でした。
じわっと心に響きます。この人のほかの作品も読んでみたい。