ティンブクトゥ
作者はポール・オースター。
犬の視点から世界を描いている。主人公の犬、ミスター・ボーンズの飼い主はウィリー。自称?詩人で、ホームレス生活を余儀なくされている。
ウィリーは死期が迫っており、自分の魂をこめた原稿と犬を託すため、かつて自分の才能を認めてくれた女性教師を探す。
ウィリーは亡くなり、彼が言うところの「ティンブクトゥ(あの世)」に行ってしまう。
遺されたミスター・ボーンズに安住の地はあるのか? 先の見えない人生(犬生?)をミスター・ボーンズはさまよい始める。
この本のボーンズは飼い犬から野良犬になってしまう。そこでの悲哀、そして世界を考えること。現実的な悩み。中華料理にされてしまう恐怖。
ユーモアも感じられるけれど、人間と同じで一寸先は闇。犬の眼から見ても世界は厳しい。
犬の眼を通してオースター流「無常観」が描かれていた気がした。
ペットにはペットなりの困難がある。寝るのが大好きで、猫派の私は「今度生まれ変わったら猫になりたい」と思わないでもないけれど、野良猫はイヤだ。裕福な家の猫になって、美味しい餌をいただき、清潔にしてもらいたい。
漱石の『我輩は猫である』では、猫の目を通して人間の社会を描いていたけれど、この本では犬の目を通して犬の世界も描いている。(もちろん『猫』でも、猫友達の話や猫の受難話も多かったけど)
犬好きにはたまらない本なのではないでしょうか?