なぜ、A型がいちばん美人なのか? 斎藤薫

なぜ、A型がいちばん美人なのか?

著者は美容ジャーナリストの斎藤薫氏。
題名が興味深いので読んでみた。女性誌に連載されたもので、
「彼のケータイをみたことがありますか?」
「浮気したことありますか?」
といった恋愛関係の質問や、
「ネイルサロンに通っていますか?」
「メイクにどのくらい時間をかけていますか?」
といった美容関係の質問などを女性にし、回答を血液型別の棒グラフにして示している。
そのデータを分析して、「愛される」「美しい」「幸せな」「デキル」女になるヒントを斎藤氏が教えてくれているというもの。
血液型なんて、関係ないよー。と言った方が知的かもしれないが、なんかやはり、少しは性質の違いがある気がする。
血液型でほとんど違いのない質問項目もあったけれど、ずいぶん差があるものもあって面白かった。
「自分がモテると思っている」のはO型が突出している。自分好きの傾向はあるかもね。
「ネイルサロンに通っている」AB型が72パーセントと突出!ネイルサロンなんてどこにあるんだ?ここらにはないぜ?とびっくり。AB型の女性は化粧時間も長いし、お金かけているし、美容には一番熱心なもよう。AB型の友人、知人を思い浮かべてみるが、そんなに気を使ってるかなあ?
「お化粧を落とさずに寝てしまうことはありますか」は意外や意外、几帳面なイメージのA型がダントツ一位。まあ、大学のとき、A型女性で信じられないくらいキチャない子はいたけどね。(ジーンズは洗ったことがない、靴下はそのへんのを拾って履いてくる、とか)
「彼のメールを見たことがある」はB型が多い。思い立ったらすぐ行動、という感じでしょうか。あるいはバカ正直に答えてしまうのか・・・
さて、題名の秘密。「ハシャがない」(落ち着いている)雰囲気を持つA型女性が美人に見える、というのが筆者の分析。そうか・・・早く教えて欲しかった・・・
でも私の友人のA型女性たちはかなり、かなりハジケとんでいるぞ?!

心に太陽を持て 山本有三

心に太陽を持て改版
作者は『路傍の石』『真実一路』などで有名な山本有三。
ずいぶん昔の、子供向けの本。
フライシュレンという人の「心に太陽を持て」という詩から本は始まっている。
アンパンマンの歌のような、前向きな詩だ。
本の内容は、言ってみれば「偉人伝」。ファラデー・ミレー・スタントン夫人などなど。偉業を成し遂げた有名人のものも、あまり知られていない人の逸話も。
どの人にも共通するのは、「自己の利益よりも社会のために働く」ということ。子どものときにこそ、読んでおきたいタイプの本だ。
大人になったら、どうしても「パンのために稼ぐ」ことしか考えられないし、子どもにもそういう姿ばかり見せがちだろうから。
私が子どもの頃、本は図書室で借りるものであって、めったに買ってもらえなかった。三年生か四年生のころ、父が珍しく自分でセレクトして本を買ってきてくれた。それは偉人伝。
紫式部、福沢諭吉、渋沢栄一、二宮金次郎、小林一茶などなど。逸話を中心に、彼らの成し遂げたことが描かれていて、何度も繰り返し読んだことを覚えている。
「女の子は女らしく」とか、「いいお嫁さんに」とか、一切言わなかった父。私には教師か薬剤師か税理士になれ、と言っていた。女一人で生きていける職業ばかりである。嫁に出したくなかったのか、娘の不器量さを見ての判断だったか。
でもまあ、子どもに偉人伝を読ませたい親の気持ちは少し分かる。親の背中も見て欲しいけれど、理想に生き、偉業を成し遂げた人に対する憧れの気持ちも持って欲しいと。
日本の将来を憂う大人として、子どもにはどんどんこんな本を読んで欲しい。理想を持って欲しいです。
夏休み、読書感想文の題材にもオススメです。対象は小学校高学年ぐらかと思います。

もうすぐ 橋本紡

もうすぐ

作者:橋本紡
この人の作品を読んだのは初めて。
小説なんだけど、小説らしくない小説だった。
主人公はネット新聞の記者。お産の際の医療事故をめぐる裁判を取材することをきっかけに、妊娠、出産にまつわる経験談を女性たちにインタビューする。
主人公の友達もまた、不倫の子を宿し、産院の予約を取っていなかった・・・
内容は盛りだくさん。初期流産、不妊治療、お産難民、子どもを持つことへの夫婦のズレ、感動的な出産の場面などなど。どれも女性の視点から描かれている。
上記の問題については私もかなり詳しいので、新しい発見は少なかった。(面白かったけど)
でも、繰り返されていたのが、30代後半になって子どもを欲しいと思っても手遅れになる場合が多いということ。一年一年、孕む可能性はガクンと下がっていく。
そして、30代後半になって慌てて不妊治療にかけこむ女性が多いということも強調されていた。
確かに、今の30代前半の女性っていったら、仕事にも脂がノッてくる頃だし、まだ容貌・体の衰えも自覚しないし、仕事や遊びに楽しい時期。でも、子宮年齢、卵巣年齢は昔と変わってはいないはずだ。
いろんな事情はあるだろうけれど、妊娠・出産はお早めに、ということを働く女性は知っておくべきだろう。  
私と同世代の藤原紀香さん(女優)が、ついこの間テレビのインタビューで「いつか私が母親になったときに・・・」などとおっしゃっていた。思わず「38だろ!ノンキなこと言ってる場合じゃない!」と言ってしまった。
女性が「子どもが欲しい!」と思う時期がだんだん遅くなっている昨今。厳しい現実を改めて認識させられた一冊でした。

私とは何か  池田晶子

私とは何か

著者:池田晶子
前にも紹介した死とは何か
魂とは何か
と同様、池田晶子氏の未発表原稿を編集した「さて死んだのは誰なのか」シリーズの最終作。
比較的読みやすく、面白かった。哲学ブームへの懸念、ネット社会・政治など社会問題への私見、犬への思いなどなど。
比較的「自分」を語る文章が多くて、興味深かった。犬にまつわるエッセイも多数。私は断然犬より猫派なので、イマイチ共感できないのが残念なんだけど、犬好きの人には「わかる!」というところだろう。
共感して嬉しくなってしまったのは、「外見と偏見」というエッセイの中の「口髭を生やした男性に対する警戒」。
〈口髭の陰から相手の顔色を窺っている、とても小心なものが見えるから。クリエイティブな自由人なのだと人から見られたいと思うほどには、自分はクリエイティブでも自由でもないということを、彼らはじつは自分でよくわかっているのである〉
手を叩きたくなる。私も男性の外見をあれこれ言える身分ではないけれど、「ヒゲ(のデブ)」だけはダメ。イチロー的なヒゲはいいけど。
開業医にも多い気がする。とくに産婦人科。院長が「ヒゲ(のデブ)」だったという理由で、この病院はもう来ない、と思ったこともある。なんかカリスマを装ってる気がするのだ。
かなり偏見だけど、偏見もちょっとはないと人間面白くないですよね。
さて、この本の目玉付録(?)は、池田氏が小学校6年生のときに書いた短編物語。
文章の確かさ、物語の構成の上手さには驚かされるものの、小説から滲みでる純粋さや優しさ、倫理観は子どもらしい。
辛口とも言われる氏だけれど、子どもの頃の倫理観はずっと彼女のベースになっていたんだと思わせられた。

うつくしい人 西加奈子

うつくしい人

作者:西加奈子
この間読んだ西氏の『ミッキーかしまし』が抱腹絶倒、すごく面白かったので小説も読んでみた。(初めて)
・・・予想に反して、エッセイとは対照的に笑えるところがいっこもない重い小説だった。
主人公の百合は32歳。お金持ちの親に頼って生きており、会社も「疲れて」やめてしまった。
百合にはひきこもりの姉との関係や、高校時代いじめに加担していたことでトラウマがあり、人間関係で素直になれず、息苦しい日々を送っている。
彼女は思い立って瀬戸内の小さな島に旅行に行き、豪勢なリゾートホテルに泊まることにする。
そこで出会う奇妙な背景を持つ人々との出会いによって、少し勇気をとりもどす。
苦しい思いを抱えている人が旅と出会いによって癒される・・・と、簡単にまとめればそんな話。
私はすっかり大人になってしまっているので、主人公には「甘えるな!」「しっかりしろ!」と思ってしまった。百合の葛藤がもう少しリアルに描かれていたら共感できたのになあ、と思う。
あとがきを読んで「ふーん」と思った。小説の舞台となった島は「幻冬舎の編集者」二人と行ったある島がモデルになっている、と。
こういう情報はあんまり知りたくない。人気作家に「書かせる」ために、リゾート地で「よい思い出」を作らせようとする編集者と、世界の狭くなってしまった若い小説家、という図式が浮かんできて・・・
若くしてデビューした小説家は世界が狭くなる危険がある、というある本の一節を思い出してしまった。
ひねくれたアラフォー読者には物足りない作品だった。でもまだ一作しか読んでいないので、もうちょっと読んでから判断しなくてはね。

愛子とピーコの「あの世とこの世」  佐藤愛子 ピーコ

愛子とピーコの「あの世とこの世」

小説家の佐藤愛子とピーコの対談。語りおろしだという。
ずいぶん前、佐藤愛子の私の遺言
を読んで、衝撃を受けた。自分は経験がないからわからないけれど、霊っていうのは本当にいるのかもしれない、と思わせられた。
この本では佐藤氏・ピーコ氏の霊体験を語りつつ、霊能でお金儲けをしてはならないこと、江原啓之氏への疑問、人間の「波動」を上げるにはどうすればよいか、などについて語っている。
ピーコ氏はけっこう好きなタレント。最近「辛口ファッションチェック」をしてくれないので寂しい。しかし、彼女(彼?)に霊感があるとは知らなかった。テレビでいうと、エンターテイメントにされてしまうのであえて言わないらしい。
彼女のかかりつけの霊能者の存在にもびっくり。ウソとは思えない(素直な私!)。
佐藤氏は「私の遺言」の中では江原氏にかなり頼っていたけれど、近頃のテレビ出演やコンサート活動などには疑問を持って、心配しているようだ。ピーコは悪口を言いたい人なので、批判が前面に出ていたけれど、佐藤氏は江原氏の能力を認めつつ懸念している。
江原氏はどうも優しすぎる人のよう。テレビと著作ではずいぶん印象が違う理由が分かった気がした。
さて、読んでよかったなあ、と思えたのは最後の「波動を上げよ」の章。
憑霊されないため、(されそうもないけれど)幸福に死ぬための心がけが書いてあって、またまた素直な私は「なるべく」心がけよう!と思った。物質的価値観からはなかなか自由になれないけれど。
でも、基本的に悪口好きなピーコ氏は波動を上げる生活をしているのか?という疑問も残る。
「スピリチュアル」が好きな人にも、アンチな人にも、とても面白い一冊だと思います。

がんで男は女の2倍死ぬ  田中-貴邑 冨久子

がんで男は女の2倍死ぬ

著者:田中-貴邑 冨久子
この間紹介した夜中にチョコレートを食べる女性たち
では、女性の間違った食習慣や生活習慣が健康を損なっている、まだ何も考えないで食べる男性の方がマシ、と書いてあった。
この本では、むしろ逆。日本人の三大死因であるがん、心臓病、脳卒中の死亡率は、いずれも男性が女性の2倍であるという。
そしてその原因が「男らしい」生活習慣にあると述べている。
しかし、著者は脳科学の専門家でもあるので、脳の性差、ということに多くのページを割いていた。
脳に関する記述は、やや難しいところもあった。胎児のころから男と女の脳は違っているという。
ヒトを含む脊椎動物は古い脳と新しい脳を持っており、古い脳は生命を維持し、種族を保存するためのもの。新しい脳は学習能力をもち、環境や社会に適応するための脳だという。
古い脳に関しては性差があるが、新しい脳には性差がないと筆者は主張している。
男性のほうがよく食べるのも、古い脳の違いからだという。性衝動の違いも。
学習能力(新しい脳)について。男子のほうが女子より数学ができる傾向は確かにあると思っていたのだけれど、社会的に男女参画が進んでいる国では成績に差がないことをしってビックリ。
ジェンダー差が、そんなところにまで反映されるとは!日本は差がありすぎる国のようだ。
さて、生活習慣病に関して。男性は夜遅く晩御飯を食べる、ラーメンの汁を全部飲む、ストレスためる、酒、タバコをたしなむ、これがよくないらしい。(当たり前・・・)
でも多くのサラリーマン諸氏にとっては、夜遅いご飯とストレスは已むを得ないところ。
女性は閉経前までは女性ホルモンが健康を守ってくれているから、生活習慣病リスクが少ないらしい。生殖能力が無くなったらもう死んでもいいよ、ってプログラムなのかしら。
閉経後はどうしたらいいんでしょう?あと十数年もすればやってくるんだけど。
そこが具体的でないのが残念だった。
筆者の言いたいことは、健康のためにも男女参画社会を進めよう、社会的役割から解き放たれよう、ということだったみたいだ。

日のあたる白い壁 江國香織  

日のあたる白い壁

筆者は小説家の江國香織氏。絵にまつわるエッセイ集。
まず、絵がいい。カラー写真で紹介されているので嬉しい。児島虎次郎、東郷青児、ゴッホ、ゴーギャン、セザンヌ、マティス・・・24の絵について、筆者が見る楽しみを言葉にしてくれている。
どれも「美しい」絵で、女子が好きそうな絵ばかりだ。ステキと思う絵ばかり。
作者が絵から感じるイメージだけでなく、画家の横顔も紹介されていて興味深い。
絵を漫然と見ても印象が流れていくだけで心に残らないことも多い。でも、面白い解説があると自分では気づかない絵の細部の秘密がわかったり、画家が絵に込めた思いを知ることができてよい。
絵の専門家ではない人の文章だからか、スッと入っていけるし共感もできる。
江國香織氏の小説にあふれる「センスのよさ」は、こんな風にステキな絵をたくさん見てきたから出てくるものかもしれない。

貧困ビジネス 門倉貴史

貧困ビジネス

著者:門倉貴史
底なしの不況。貧困層は急増している。無差別殺人や凶悪犯罪のニュースで、犯人の職業が「無職」と出ると、やっぱり貧困は人心を荒廃させるのだと胸が痛む。
この本では、さまざまな貧困ビジネスについて取り上げ、その恐ろしさについて説明している。敷金、礼金の要らない「ゼロゼロ物件」がなぜ儲かるかがわかった。
ほかにも、多重債務者にニセの養子縁組をさせてさらに借金をさせる「リセット屋」。世界に蔓延する人身売買、賃金のピンハネ、安物の危険などなど。
特に筆者が一章を割いて述べるのが「台頭する貧困対応型セックス・ビジネス」。私は女なので風俗にお金を使わないし、風俗で稼ごうにも稼げないお年頃なのでかなりどうでもいい世界なのだけれど、風俗の業界でも売り上げ、給料低下がはなはだしいという。
一部の男性や、業界にかかわる人にとっては切実な問題らしい。こういうところからもまた人心の荒廃が生まれてきそうだ。
一番こわかったのは、中国製の安物の醤油の中にかなりの割合で頭髪のアミノ酸が使われているということ。
気持ち悪すぎる。中学の家庭科の教科書に「髪の毛」食べると気が狂う、って書いてあったような気がするんだけど・・・
中国製の醤油を買うことはなくても、中国から輸入された加工食品に使われている可能性はあるってことよね?!
最近、「激安弁当」がテレビで話題になっている。198円とかのもある。私はボランティアで60人分の弁当作りをしたことがあったけれど、容器も合わせて一人300円~350円で作るのもけっこうしんどかった。(人件費はボランティアなのでゼロ)
安い弁当の裏側で、安い賃金で人が働かされ、農家が泣いているかもしれない。安全も不安。安いほうがうれしいけれど、どこかで歯止めをかけないと、しわよせが怖い。

NHK ラジオまいにちフランス語

NHK ラジオまいにちフランス語 2009年 08月号 [雑誌]

仏検3級に合格した~!3級なんて大したことないけれど、嬉しいので世界中に自慢する!
試験を受けるなんて本当に久しぶり。ほとんどが大学生と見られる若者に交じって受験し、新鮮な気持ちだった。(緊張はゼロ。昔はもっと緊張したような・・・)
数年前からNHKのラジオ講座を聴き始めて、やめたり再開したりを繰り返してきた。
この春、一念発起して受験することに。ラジオ講座のほかにも役に立ったのは
『仏検3・4級必須単語集』(白水社)や、第二外国語が仏語だった夫のワークブックや参考書など。
知らない言語を学ぶというのは、(初歩ならば)面白い。その国の文化への憧れがあるならなおさら。パリに行ったときも、ちょっとは会話できてよかった。
しかし、単語集でrenseignement(案内所)とかembouteillage(渋滞)とか、やたら難しい単語も覚えたのに、試験ではそんなのは一個も出ず。
もう一つ自慢すると、96点/100点。えらく簡単に感じた。
なので、もう一つ上のレベルを目指すか、挫折したイタリア語をかじるか、やっぱり世界語の英語でもやってみるか、悩むところ。
再就職のときに、語学を生かすつもりは全くないので、なるべくお金がかからない勉強をしたい。
しかし、NHKのラジオは素晴らしい。月々380円+わずかな電気代でレッスンが受けられたらお得ですよね。