死とは何か
池田晶子の著。以前に紹介した
魂とは何か
と、出版社は違うけれど同じシリーズ。池田氏の単行本未収録原稿を中心にしたエッセイ。
『魂とは何か』よりもずいぶん読みやすい。これまでも池田氏の著書を読んでいるので、内容としてはどこかで読んだようなものが多かった。
「死とは何か」。誰一人としてみたことのない「死」。言葉としてしか存在しない。現象としては存在しない。と池田氏は言う。
臓器移植についての考えにはハッとさせられるものがあった。「人は生きることが幸福である」という前提は安直なヒューマニズムであり、薄っぺらな生命礼賛から出てきた考えだと。
死を恐れて生きるのではなく、自然や運命という大きなところから自分の人生、幸福、生きることの意味を考えてはと提案している。
「人生は量ではなく、質ではないでしょうか」と。
私は120歳まで細く長く生きることが夢。「質」は全くおろそかにしていて、恥ずかしい。
筆者が医療従事者向けセミナーのために準備した講演の原稿も載せられている。
筆者の死の一月前。呼吸苦が深刻になり、講演をキャンセルしたものの、内容を自宅で口述し、自身の代わりに作品として届ける段取りをととのえて、同日昼過ぎに入院したという。
ちょっと涙。ほんとに「人生、量より質。」ということを実践した人なのだ。講演の内容も、もちろんすばらしい。
巻末に、筆者自筆原稿のコピーがあります。かなり悪筆です。しかし、ファンにはたまらないかも。