睡蓮が散るとき
作者はスザンナ・ジョーンズ。処女作が英国推理作家協会最優秀新人賞を受賞したらしい。これは第二作目。日本で数年、英語の教師をした経験がある。
主人公の一人は留奈。英語教師で、16歳の教え子、純と深い関係になっている。ある日、純とラブホテルから出てくるところを写した写真とともに脅迫状が届く。
留奈は、姉のパスポートを使って中国に逃亡しようとする。
もう一人の主人公はイギリス人のラルフ。東京にお嫁さん探しに来ている。東洋の女性は従順で優しいという宣伝文句を信じて。
彼も東京での嫁探しに挫折して、中国にわたろうとする。
二人は同じ中国行きのフェリーに乗り込み、そこで起こったことは・・・
いやー、悪口はあまり言ってはいけないけれど、読み終わってから「時間を返して!」と思った。
主人公は二人とも自分勝手で独りよがりで、愛より性欲、って感じで全く感情移入できない。
さまざまな伏線はあるものの、放置。脅迫状を送ったのは誰なんだろう。
留奈が実は姉と双子?そういうオチ?と思ったけどそういうこともなし。
姉との関係が留奈の歪んだ性格を作ってるのかも、と思ったけど、イマイチつかめてこない。
文化的な違和感も。日本の教師は話したことのない生徒を下の名前では呼ばない。
それでは小説に愛はあったか? 見つからない…
なんだろう?退屈のあまり教え子に手を出す女教師とか、東洋の女性への先入観を持つ哀れな中年男とか、モチーフは面白いと思うんだけれど、ディテイルが荒すぎる。
後味が悪いので映画を紹介。
東京を舞台にしたハリウッド映画
ロスト・イン・トランスレーション
ダイヤモンドユカイが、変な広告代理店の人の役で出ています。
盛り上がりはないけれど、しみじみした映画です。