精神科医は心の底で何を考えているか

精神科医は腹の底で何を考えているか

題名が興味を引く。精神科医・・・人間の心理に精通していて、心が広く冷静で、もちろん頭もよく、かつ繊細な人柄・・・というのが私のイメージ。
多くの人がそう考えているのではないかと思う。
しかし、この本を読んで、精神科医も人の子、ちょっとしたことで嬉しくなることもあれば、患者にムッとすることもあるんだなあーと思った。
100人の精神科医、というのを挙げていて、巻末にまとめたリストもある。
例 2 ろくに診察もせず処方を出して患者を副作用で苦しめる医師
  11 凡庸で権威主義なぶん、安心感を与える医師
  31 患者の心のメカニズムを把握していてもなお、相手の振る舞いに寛容になれない医師
…などなど。しかし、100のうち3分の2以上は筆者自身のよう。臨床に携わり、さまざまな経験のエピソードから、かなり本音を書いている感じ。
精神科医は、患者を「スッキリ」治すのが難しそうで、そこが辛そう。
例えば歯医者ならスッキリと治療できる。(だから私は歯医者に行くのは好き!)
あらゆる職業には、どんだけやっても完璧な方法論はない、という面があると思う。
でも、夏目漱石が『現代日本の開化』で言っているみたいに、「なるべくいい方向にいくように努力を続けるしかない」んだと思う。
スッキリ治せない苦しみに向き合って、ためらって、もがき続けることにこそ、精神科医の仕事の尊さと意味があるかもしれない。
しかし、前に紹介した、別の筆者の
精神科医はなぜ心を病むのか
にもあったように、精神科医は精神的にしんどそう。この本を書くことで自分自身を癒している面もあるようだ。