かなり長い小説だった。主人公茉莉の少女時代から中年になるまでの遍歴。福岡で育ち、兄と踊りが大好きな女の子。隣には幼なじみの九が住んでいて、三人はとても仲良し。しかし、不幸な出来事が茉莉を襲い、家庭は変わる。
17歳で駆け落ちをし、東京で男と暮らし、戻ってきて九州大学に進み、恋に落ち、子どもを産み、…このあとも波乱万丈。でも、運命に身を任せながら、他人に対しては超然と生きようとする茉莉の心の中には、いつも兄がいる。そして、遠くにはいつも九の存在がある。
江國香織の小説にしてはめずらしく、博多弁で会話が進んでいる。とても温かい言葉として響く。長大な物語で、むしろ不幸なエピソードが多いんだけど、人生には生きる意味がある、と思わせてくれる作品。
愛する人はこの世からいなくなっても、心の中に生きている。言い古されているけれど、「あの世」と「この世」つまり彼岸と此岸はときにとても近くなるのだと感じた。
辻仁成の『右岸』は九を主人公として、この小説とコラボレーションして書かれているらしい。最近、辻仁成から遠ざかっていたので、読むかどうか迷うが、読むだろうな。
江國香織の小説に話を戻すが、主人公の茉莉は大人になってから「飲酒」と「踊り」が趣味になり、やがて自分のワインバーを開く。美味しそうなワインの名前も出てきて、なんだか飲みたくなった。
鴨の缶詰も、そんなに美味しいものなのかしら。
小説に出てきた美味しい白ワイン。マルヴァシーア・セッコ。残念ながら楽天にはないみたい。これに似ているかしら。
鴨の缶詰。