疑似科学入門 池内了

何か面白そうな本はないかしらと探すとき、大学の入試問題を手がかりにすることがある。
この本から、今年、早稲田大学・立命館大学が出題している。
占い、超能力、健康食品など、社会にまかり通る疑似科学のワナにはまらないためにはどうしたらよいか、地球環境問題に正しく対処するにはどうしたらよいか、についてヒントを与えてくれる本。
占いとか、健康食品とか、個々のものの怪しさはなんとなくわかる。今日の新聞の雑誌の広告に「これを聞けば夫のDV、姑のイビリから解放されて幸せになるCDの付録」!とあった。
そんなアホな。健康雑誌の見出しはいつも大げさである。
一方で、テレビ・チラシで大いに宣伝されている「悠香のお茶せっけん」。真矢みきの美しい顔に説得されて、本当にキレイになるんでないか?と洗脳されそうになる。いやいや、せっけんだけでシワシミから解放されるはずがない。
この本のことに話題を戻すと、個々のものの怪しさをあげつらっているところは検証が少なく、あんまり真剣味がない。しかし、「技術による道徳の代行」の指摘にはなるほどと思った。
携帯電話のマナーモード(ペースメーカー装着者には意味がないが)・トイレ使用後の自動洗浄、自動消火するコンロ…「手間」もそうだが、「道徳」までも技術は代行する面があるのだと気づかされた。
技術によって人間の質が変化することは止められないだろう。
筆者が訴えたいのは、懐疑する精神を育て、保つこと、疑う基軸を身につけることの重要性。テレビやゲームは疑問をもつ癖を失わせるとも指摘している。
筆者にとっては「軽め」の本なのだと思う。このごろの「新書」は本当にかるーくなっている。ならもちっとユーモアがほしいところ。
「評論家の言うことは信用すべきではないと、評論家の池内が言った、さてこれは真か偽か、それは読者の判断にお任せすることにしたい」
本の最後のこの一文はユーモアに満ちていた。