空に唄う 白岩玄

この間、朝のテレビで「草食系男子」なるものが増殖しているとレポートしていた。
ウェブでちょっと調べてみると、肉欲にがっつかないらしい。その他、スリムな体形で小食とか、スイーツ好きでコンビニで買うとか、車よりおしゃれとか、携帯が手放せないとか、ホテルに女友達と泊まっても何もしないとか。割り勘主義、てのもあったな。
私の学生時代は、あまりいなかったタイプかも。男子は車を大切なおもちゃとし、女と見れば「自宅?一人暮らし?」とまず聞いてきやがって、携帯なんてものはなかった。
男女平等で育てられ、男は男らしく!という価値観が押し付けられなかった世代なら、自然な発生なのだろう。
なんかスケールが小さくなっていく気がして、ちょっと寂しい。
白岩玄といえば『野ブタ。をプロデュース』が大ヒットして、芥川賞候補にもなった。学校における微妙な力関係を見事に描いていて、面白かった。芥川賞?はちょっと難しいんじゃないかと思ったけど。
『空に唄う』は久々の新作。主人公の海生は、23歳の新米僧侶。父を早くに亡くし、祖父の住職について勉強中の身だ。同い年の碕沢さんという女性の通夜でデビューするが、他の人には見えない碕沢さんに話しかけられ、いろいろあって海生の部屋でしばし同居する。
海生はまったく「草食系男子」。生きている女子の「凛ちゃん」も海生に気があるようだけど、友達以上にはならない。碕沢さんにもほのかーな思いを抱いているのに、ぜったいに踏み込まない。イライラ。幽霊だから仕方ないけど、深い人間関係を結ぶことをどこかで逃げている。
白岩氏は1983年生まれ。草食系男子の実態にせまるのは得意な世代だろう。
でも、この作品は残念ながら『野ブタ。』よりもちょっと落ちるというのが私の感想。
碕沢さんが家族や恋人にどんな手紙を書いたの?
若い僧侶の、僧侶としての気持ちってどうなの?なんで家業継いだの?葛藤は?
隔靴掻痒。
またドラマ化を狙っているのか?