お母さんの恋人 伊井直行

物語の舞台になっているのは、川で右岸と左岸に分断された街。右岸と左岸では文化?雰囲気が違うらしく、どこか地方の都市を思わせる。
大島と磯谷は17歳の高校生。あまり、よい子のタイプではない。大島は運送会社の次男で、かわいいガールフレンドもいる。
磯谷は町でみかけた美しい年上の女性に一目ぼれする。その美しい女性、小林は36歳独身。
父親の仕事をひきついで、英会話学校を経営している。彼女には恋人のような人がいる。
大島はかわいいガールフレンドがいるにもかかわらず、磯谷の気持ちも知っているにもかかわらず小林のことを好きになってしまい、告白する。
…地味な展開の小説かと思いきや、後半はかなりドラマチックだった。
いろいろな恋愛模様が錯綜している。
筋も面白いけれど、大人でなければわからない人生への諦観、少年でなければわからない何かへの苛立ちがよく伝わってきた。
大人の世界って汚いのねー。でも、救いもちょっとはある話でよかった。