ちょっと昔のアメリカの小説。イリノイ州グリーンタウンが舞台。
主人公のダグラスは12歳。彼のひと夏のさまざまな経験を中心に物語は進む。
思春期に差し掛かる頃、多くの人は「哲学者」になる。自分が生きている意味を考えたり、なぜ生きるのかを考えたり、あるいは、「死」というものを強く意識したり。
その大切な一瞬を、見事にすくい取って描いている。
「年寄り」たちとの交流も愉快。子どもにとっての祖父母、近所のおじいさんおばあさんの存在の大切さを改めて思う。
私も(熊やシカが出るような)田舎で育ち、幼い頃は近所のおばあさんによくかまってもらった。隣の家のおばあさんに農作業を習ったり。この本を読んで、そんなことを懐かしく思い出した。
もちろん、牧歌的なだけではなく、ピリッと辛口な面もあるので、大人の読み物としても十分に楽しめる。
一つ一つの文が非常に美しく、詩的。私には無理だけれど、英語が得意な人は原文で読んでもきっと素敵だろうと思う。