この本のタイトルは、別に
『梅干のことだけは考えるな!』でも
『尾美としのりのことだけは考えるな!』でもいい。シロクマの写真を見せたあとで「シロクマのことだけは考えないように」と言うと、どうしてもシロクマのことを考えてしまうという人間心理。私も高校のとき、生物の時間に「ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸」というのが教科書にあって、先生が「これは覚えなくてよろしい」と言ったためについ覚えてしまった経験がある。今でも覚えている!生物はものすごく苦手だったのに。たんなるひねくれ者?
心理学者の植木理恵氏による著書。「モデリング学習」「スティンザー効果」「フォアラー効果」「言語的隠蔽」などなど、難しそうな心理学の用語を、難しい言葉を使わずに具体的な場面を挙げて説明している。そして「元気になる」「頭が良くなる」「人をコントロールする」「人をトリコにする」など、実用方面に向けて解説しているのが面白い。
こういう本って、読んでるときは「ふむふむ」と思うんだけど、いざ実践してみるか、っていうとすっかり忘れてしまう。でも人間関係をちょこっとスムーズにするには役立つのではないだろうか。深みはないけど、心理学の入門としては面白い本。中高生なんかが読めば、心理学方面に興味を持つのではないかな。