ウツボカズラの夢

乃南アサは「歪んだ家族」を描くことも得意分野とするミステリ作家。この作品では殺人事件はないけれど(いつ人が殺されるのかしら、と待ってたんだけど)高校を卒業し田舎から東京に出てきた女の子のこわーいシンデレラストーリー。
お金も、学歴も、親もいない女の子はどうやって自分の人生を切り開いていけばいいのか。
亡くなった母親からもらったいくつかの言葉が主人公の未芙由を支えている。
それにひきかえ、言葉を子に与えていこうとしない叔母の尚子の無責任さは徹底している。
親が子どもに与えるものはお金や生活の快適さだけではない。
親の言葉をふと思い出して、自分を支えることがあるもんなあ。
豆大福の母の言葉の一つ。
「ぐっとこらえて南無阿弥陀仏!」(腹が立ったとき)
あと、この小説で疑問に思った点。財団の職員ってそんなに貰ってるの?