雉猫心中  井上荒野

雉猫心中

作者:井上荒野
主人公は知子という主婦と、晩鳥という男の二人。
エピローグとプロローグがあり、第一章と第二章に分かれている。
第一章は知子の視点から描き、第二章は晩鳥の視点から描いている。
何を描いているかというと…まあ、姦通・不倫。昨日もそんな小説を紹介したような。
知子は中学教師の夫を持つが、その夫がなんだか変態ぽく、神経質であったかみのない印象。家に迷い込んできた雉猫をきっかけに晩鳥という男(古書店主)と知り合い、関係を持つようになる。
晩鳥はキャリアウーマンの妻を持ち、中学生の娘もいるが、古書店の収入ははかばかしくなく、ネットオークションを中心に自宅で仕事をする日々。妻への強い思いはあるが、なんとなーく相手にされていない。
そこで「物欲しそうな主婦」の知子と関係を持つ。
二人とも、今の配偶者になんとなく満足していなくて、今の生活にも閉塞感を感じていて、そこで不倫。あんまりにもありきたりな設定だけれど、ま、小説はストーリーだけじゃあありませんよね。
二人の間にあるもの、露骨な性描写などは全くないんだけれど、淫靡でイヤラシイ。中年の不倫というのは、目的がはっきりしててゴチャゴチャしてませんね。
でも、関係を持てばいつかゴチャゴチャがやってくる。心の傷が深くなるのはどっち?
最後まで読んで、ちょっと怖くなった。
「遊び」と割り切っても最後に面倒なことになる。気をつけましょう