逆に14歳  前田司郎

逆に14歳

作者:前田司郎
劇作家の描いた小説。
丸田史郎という小説家(年齢は分からないがおそらく70歳超の老人)は、友人の葬儀で俳優の白田(これも老人)と再会する。
白田といっしょに暮らすことになった史郎。白田の情熱から、二人で劇団を作って演劇をしよう!という話になるが、団員を募集するとあまりに応募が多く、二人は逃避旅行に出る。
そこで得る新鮮な?性の経験とは・・・
ストーリーはまあまあだけれど、成熟してないというか、いつまでも大人にも老人にもなりきっていない老人の心理描写とか、ディテイルが面白い。
作者は30代前半。体力、記憶力、鋭い性欲が衰えているさまを、若いひとの感性で描くギャップみたいなものが新鮮だ。
いつまでも、トキメキたいという思いはある老人。作者は自分の何十年後かを主人公に重ねているのかしら。
人間の本質というのは、確かに歳をとってもそう変化がない気がする。友人との話題は学生時代は「恋バナ」から「取れないお腹の脂肪について」に変わってきているけれど…
私は子どもの頃、勉強中とか授業中とか、退屈になるとノートの隅に「ドラえもん」の絵を描いていた。今も、手持ち無沙汰のときとか、広告の隅に「ドラえもん」を描いてしまう。
たぶん、老人になっても、老眼鏡かけて新聞をよみつつ、隅っこにドラえもん描くんじゃないだろうか。