水曜日の神様  角田光代

水曜日の神さま

著者:角田光代
好きな小説家、角田光代のエッセイ集。前半は主に旅にまつわるエッセイ、後半は日常や過去にまつわるあれこれ。
旅のエッセイというのは面白く読ませるのが難しいと思う。自己満足の世界に終わっていて時に読者を退屈させる。
でもこれは面白かった!角田氏は実にさまざまな国に旅していて、「お金」「トイレ」「笑顔」「食べもの」「持ち物」などなど、トピックを絞って語ってくれていて興味深い。
旅の経験も。「オリエント急行」言葉としては聞いたことがあったけれど、本当に「動くホテル」なんだと知った。いやー、いつか乗ってみたいなあ。宝くじが当たったら。(買ってないけど)
人生を変えたタイ旅行についても。私も独身の頃、友人と「いつかタイに行こう!」と言っていたが、まだ実現していない。アラウンド還暦ぐらいでいけたらと思う。
後半の、旅以外のエッセイもよかった。
一つ挙げればタバコにまつわるエッセイ。禁煙を試みた一週間目、スーパーマーケットに行った帰り道、旅行できても、宝くじが当たっても、いい小説が書けても、・・・いくらすばらしいことがこの先あったとしても、私は一本の煙草も吸えないのだ、と思って異様な悲しみに襲われた、という話。
その禁煙は続いたそうだが、今はまた喫煙しているらしい。
健康は大事だけれど、人生で何を優先するかは人それぞれ。
「煙草、飲酒、カフェインは時間の無駄を生み出し、健康も損ねる。やめるべし!」と常々言っている勝間和代氏にはわかり得ない感情かもね。