朗読者 ベルンハルト・シュリンク

朗読者

作者はドイツの小説家で法学の教授でもあるベルンハルト・シュリンク。
映画「愛を読むひと」が公開されている。見たい!でも映画館に足を運ぶのも面倒なので、レンタルになるのを待つことにし、まず原作を読んでみた。
主人公のミヒャエルは15歳。ある日道端で体調を崩したことをきっかけに、35歳のハンナと出会う。
ハンナから誘われて肉体関係を持ち、夢中になるミヒャエル。彼女にせがまれて名作を朗読することも二人の習慣になった。
毎日のように逢ったり、旅行したり。しかしある日、ハンナは町から姿を消す。
さて、ミヒャエルが法学部の学生になったとき、法廷で被告人となったハンナと再会する。
ハンナは戦犯として裁かれていた・・・
ベストセラーになったのも納得、ストーリーもディテイルも、とてもよかった。
翻訳も上手なんだろうけれど、場面が目に浮かぶような描写。
15歳の男の子なんて、愛も性欲も好奇心も区別がつかない年頃だろう。でも成長したミヒャエルがハンナを見捨てずにいるところがいい。恋愛感情は失っているとしても。
やっぱり「愛とは、見捨てぬこと」。
しかし、ハンナが戦犯になったのは彼女の育った環境や時代背景からしてしょうがない面があると思うんだけれど、35歳の女が15歳の少年を誘惑するのは、よっぽど本質的に悪いような。