【送料無料】月と雷 [ 角田光代 ]
主人公は、フリーターの三十路の男。
女に不自由したことはないけれど、結婚しようとしても、断られてしまう。
理由は「生活ができない」から。
彼は、男のもとを転々と放浪する母と二人で生きてきた。
母は今、やもめの男の家で世話になっている。
彼は、昔一時期いっしょに暮した同い年の女の子のことを思い出し、
探し出す。
出会いそうもない二人が再開して、運命は複雑な方向へ…
なんというか、主人公の「育ち」がどうしようもない感じなんだけれど、
「悪意」ってものが見えない。育ってきた環境によって
こういう風にしか生きられない、ということは伝わってきた。
「結婚」「生活」は地味で単調で少し面倒なことの繰り返し。
それに慣れられない、耐えられない人もいて、放浪するしかない…
私は、「毎日が同じことの繰り返し」っていう地味な生活が結構好き。
これも、育った環境に負うのだろう。
小説に戻るけれど、アル中でわけのわからないことをいってた
主人公のお母さんが、最後に語ることば、これがよかったです。
あと、「お金」の問題についてあんまり深く描かれていないところ、
作者の狙いなんだろうけれど、物足りなくも思いました。