戦友の恋
作者:大島真寿美
漫画の原作者を主人公にした、連作小説。
主人公の佐紀は漫画家になることを断念した原作者。ずっと一緒に仕事をしてきた編集者の玖美子は、若くして病気で亡くなってしまう。
友達、というよりも戦友だった玖美子。大事な友人の喪失の悲しみは直接には描かれていないものの、じわじわと行間から伝わってくる。
主人公はおそらく30代終わりごろ。連作小説の中では玖美子のエピソードの他にも、若い編集者とのやりとり、同級生の男の子との再会と彼の挫折、いきつけの店の人の病気など、人生の後半にさしかかったものの「憂い」がさりげなく描かれている。
喪失体験。肉親とか、家族とか、友人とか…私だって親しい人を喪うのがどんどん増えてきそうだ。まだ、親しい友人を亡くしたことはないけれど、(26歳の時、大学のクラスメイトが亡くなったが)想像すると怖い。
でも、乗り越えるしかないんだろうと思う。
小説の最後には、明るい光も。そう、何もかも失くしてしまったと思っても、また新しく得るものはあるはず。そう思わないと、生きていけないよね。