心に太陽を持て改版
作者は『路傍の石』『真実一路』などで有名な山本有三。
ずいぶん昔の、子供向けの本。
フライシュレンという人の「心に太陽を持て」という詩から本は始まっている。
アンパンマンの歌のような、前向きな詩だ。
本の内容は、言ってみれば「偉人伝」。ファラデー・ミレー・スタントン夫人などなど。偉業を成し遂げた有名人のものも、あまり知られていない人の逸話も。
どの人にも共通するのは、「自己の利益よりも社会のために働く」ということ。子どものときにこそ、読んでおきたいタイプの本だ。
大人になったら、どうしても「パンのために稼ぐ」ことしか考えられないし、子どもにもそういう姿ばかり見せがちだろうから。
私が子どもの頃、本は図書室で借りるものであって、めったに買ってもらえなかった。三年生か四年生のころ、父が珍しく自分でセレクトして本を買ってきてくれた。それは偉人伝。
紫式部、福沢諭吉、渋沢栄一、二宮金次郎、小林一茶などなど。逸話を中心に、彼らの成し遂げたことが描かれていて、何度も繰り返し読んだことを覚えている。
「女の子は女らしく」とか、「いいお嫁さんに」とか、一切言わなかった父。私には教師か薬剤師か税理士になれ、と言っていた。女一人で生きていける職業ばかりである。嫁に出したくなかったのか、娘の不器量さを見ての判断だったか。
でもまあ、子どもに偉人伝を読ませたい親の気持ちは少し分かる。親の背中も見て欲しいけれど、理想に生き、偉業を成し遂げた人に対する憧れの気持ちも持って欲しいと。
日本の将来を憂う大人として、子どもにはどんどんこんな本を読んで欲しい。理想を持って欲しいです。
夏休み、読書感想文の題材にもオススメです。対象は小学校高学年ぐらかと思います。