古道具 中野商店

恋愛小説のカテゴリーにいれようかと思ったけど、恋愛中心とは言えないため、ほのぼの小説に入れた。
古道具屋でアルバイトをするヒトミ。店主の中野さんやその姉、周囲の人々の小さな事件を描写しながら物語は続いていく。同じくアルバイトのタケオとは付き合ってるような、付き合ってないような。タケオの言動に敏感に反応するヒトミの描写がよかった。
この小説は、フリーター小説とでも名づけたくなる。20代半ば、そこそこ歳はいっているけれど、自分の足元はフラフラしていて、だからこそ周りの出来事を興味深く見られているような。
長嶋有の「夕子ちゃんの近道」もテイスト、設定が似ている。西洋骨董品店の二階に居候している「僕」と、そのご近所さんたちの物語。恋愛はナシ。
長嶋有は男性だけど、植物的な印象。ギラギラネトネトした性欲など、持ち合わせていないかのように女性を描く。ちょっと依怙地で訳ありな女性を描くのがうまく、視線はあくまでもやさしい。
どちらの本も、ほのぼのした時間を過ごしたいときにはおすすめ。