僕の妻はエイリアン  泉流星

僕の妻はエイリアン

著者:泉流星
言語能力には優れていて、言語学を学び、アメリカ留学の体験まである女性と結婚した夫。
しかし妻はときどき周囲の目を忘れたかのような言動をして夫を悩ませる。
「個性的」を通り越した妻とはケンカがもちろん絶えない。悩んだ妻はついにアルコール依存症、うつの症状も出てしまう。
妻が自分のことを思い悩み、調べ、受診して出た結果は・・・彼女はアスペルガー症候群だった!
そこから、ちぐはぐになりがちな夫婦のズレを克服しようと奮闘する。
内容は非常に深刻なんだけれど、ユーモラスに、夫婦生活を率直に語っていて面白い。
私の偏見では、アスペルガーの人は社会的なコミュニケーションが難しいから、結婚は特に難しいだろうと思っていた。でも程度は人それぞれ。
言語能力にたけていて、コミュニケーション能力に欠けるというのも、矛盾しているようだけれど現実。コミュニケーションというのは、言語だけではないとだなとつくづく思う。
妻はダスティン・ホフマン演じる「レインマン」とは違って、数字にはめっぽう弱く、接客の仕事もできず、今はモトクロス関係の翻訳をしているとか。
コミュニケーション能力に欠ける人との結婚生活なんて、ちょっと避けたいと私は思うけれど、愛の力とはすごい。そして、妻が自分で自分のことを直そうとする意志の強さ、好奇心、探究心の強さに尊敬を感じた。
夫が妻のことを語るという形式で書かれた本だけれど、実は実は、この本は妻が書いていたというあとがきにも驚き。これほどリズムのある、軽妙な文章が書けるってすごい。
アスペルガー症候群。本人も、周りの人も辛いと思う。でも、自分はそういう障害なんだって気づくこと、知ることが社会のなかでの生きにくさを克服するために必要だってことを改めて感じた。